大団地開発の効果

大団地開発の効果は、大量の宅地および住宅の供給による住宅需要との対応の面での効果だけでなく、宅地の大量供給による地価対策上の効果、周辺地域への様々な波及効果、開発事業およびその関連による有効需要の発生と経済効果、それに政策的あるいは宣伝的効果など、各方面からのチェックが必要です。特に大阪府の場合、臨海工業地帯の造成、あるいは中央環状線道路の建設といった、いわゆる産業基盤の整備に対置して、生活環境の整備をうたう、千里、泉北ニュータウンの開発が、府政の看板政策におかれ、そして府が住宅問題、特に宅地不足の解消に熱心にとり組んでいるという姿勢を内外に強く印象づけてきた点で、政策的な効果としては、いわば劇的な効果を発揮してきていることは注目に値します。また、ニュータウンという造語は、そこに展開されるであろう新しい生活様式を想像させ、他所では話題にすらならなかったことも、ニュータウンで起こると、とたんにニュース性を帯びてくるといったように、全国民の注視を浴びた宣伝効果がここに生まれたことも注目に値します。このことは、ニュータウンで創造されるはずの新しい都市コミュニティ生活に全国民が注目しており、彼らが自分たちの生活環境および生活様式の水準をニュータウン並みにひき上げるテコとしてこれを活用することが十分期待できることを意味しています。

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このような政策的あるいは宣伝的効果のかげに、大団地開発にまつわる様々な矛盾がかくされてしまっていろとすれば、ことは重大で、例えば一見華やかに進められているこのニュータウンの開発の一方で、低所得者層を対象とした粗悪な木造アパート群や文化住宅、建売住宅の大群が、公共の援助を全く受けずして、より早いテンポで、より大量に建設されている事実を、私達は十分認識しておかなければなりません。これらがやがて老朽化し、スラムとなることは明らかであり、今の時点で住宅政策の光を最も必要としているのがこれらの住宅に住む階層であることは、あまりにも明らかではありません。
また、政策的、宣伝的効果が優先するあまり、大団地にモデル的な性格が強く付され、そのため見栄えのしない、採算のとれないものの建設は場の目を見ず、外見の立派な商店、管理事務所、展望台、有料プールなどの建設に力が入れられ、結果として居住者の不使にハネ返ってきている事実もまた見逃してはなりません。これはニュータウン開発を律しているところの論理で解析していくと明らかになりますが、社会福祉政策の一環ともいうべき住宅問題の解決に企業採算ベースが持ち込まれてきている政策自体に、基本的に問題があるというべきです。
さらに、周辺地域との関連では、大団地の開発が無計画な小規模開発によるスプロール現象を防ぎ、地価上昇を防ぐことに大義名分を見出していたにもかかわらず、大団地開発がやはり新たなエネルギー源となって、隣接地域に無計画なスプロール現象をひきおこし、地価の暴騰を招いていることを指摘しないわけにはいきません。ここで特に問題となるのは、大団地内の公共施設に依存または便乗して進む周辺の開発です。団地内の公共施設は、基本的に当該団地開発事業費の枠内て投資されているため、周辺部がこれに新たに依存するとなると、たちまち計画容量を超えてしまいます。といって、周辺開発を全く否定したニュータウン・モンロー主義は実際上無理があり、このエネルギーをうまく吸収できるような開発方式、例えば新住宅開発事業と区画整理事業の2本立て、あるいは税法や不動産鑑定制度の改正などが早急に考慮さるべきです。
大団地が提起した問題は、このほか自治体財政との関係、離農者対策、開発にともなう埋蔵支化財や自然の破壊、団地内のコミュニティ生活の問題など多岐にわたっています。大団地の関連は基本的には住宅政策と大都市圏の全体的な土地利用構想のなかで、これがどう仕置づけられるかにかかっており、大団地が先にあって住宅政策や土地利用構想があとにあるという現状は、本末転倒もはなはだしいという以外にありません。

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