近代的住宅管理

近年での住宅供給の方式は、もっぱら大団地の建設という形において行なわれています。集団的に、しかも既成市街地を離れて突如として住宅団地が建設されるとき、そこには旧来の貸家業における賃貸借関係以外の問題が発生します。このような近代的住宅団地については、基本的住宅管理のほかに、それにふさわしい住宅管理がなければなりません。これを近代的住宅管理と呼ぶならば、近代的住宅管理にはおよそ三つの特色をあげることができます。近代的住宅管理の第1の特色は、それが単なる家屋自体の管理ということではなく、住宅団地の管理であり、団地全体の管理と福利とを含んだ団地経営であるということです。近代的住宅団地においては、人間生活の基盤としての住宅のほかに、人間生活全般を支える様々の施設、設備が必要です。例えば5,000戸の団地が建設されると、それは約2万人の人口を有する町を形成することになり、したがってそこには、一つの町に存するすべての社会的、公共的施設が必要です。それは正に計画的な町づくりであって、権限さえ許されるならば、住宅管理は正に行政的役割まで果たすことになります。住宅団地が団地たるために必要な施設は、生活圏を確立するための施設と、さらに進んで生活を向上させるための施設とに分けることができます。

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生活圏の確立のためには、日常生活必需品を購買できる店舗またはマーケット、市民生活に奉仕する管理事務所、市役所等の出張所、銀行、診療所、巡査派出所、郵便局、電話等の公共的機関、義務教育、幼児教育のための小学校、中学校、幼椎園、保育所等が必要です。
団地生活の向上を図るための施設としては、集会のための集会所、児童館、公民館、文化のための図書館、音楽堂、スポーツのための子供遊び場、小運動場、プール、格納のための駐車場、自転車置場、倉庫、その他娯楽設備、公衆便所等があります。
近代的住宅管理は、これらの施設をどのように組み合わせて設置すべきか、またこれらを如何に運営し整備していくかを検討し実施するものです。
近代的注宅管理の第2の特色は、団地に注む人々と家主との関係および居住者相互の人間関係という、二重の人間関係を理解し調整していかねばならないということです。従来の家主と借家人の関係は、家主と居住者団体という関係に発展し、そこに自然発生的に生まれた任意団体たる自治会を、管理者として如何に把握し対処するかは、非常に困難な問題です。さらにまた、居住者相互の個人的または集団的感情の対立、プライバシーの衝突、集会所使用に関しての各クラブ活動間の調停など、人間関係調整の業務は日ごとに増加する一方です。
元来住宅の管理は、管理者だけがこれを管理するものではなく、居住者と管理者が一体となって相協力してこそ、立派な管理がでぎるのです。どんなに立派な機械を駆使しても、これを使用する者が、操作を間違えたり、取扱いが乱暴であっては、せっかくの機械も用をなさなくなります。これと同様に、どんなに立派な団地を提供しても、居住者の協力が得られなければ、立派な団地を永続させることは不可能であるばかりでなく、財産の保全に努力する家主と、無関心に財産を消耗させる借家人とは、とうてい相容れない対立者たらざるをえないのです。したがって良好な管理を行なうためには、家賃を払って住宅を使用している居注者にも、住宅およぴ団地の保全について応分の役割を呆たしてもらうように仕向けることが必要です。しかしながら、この管理に応分の役割を果たしてもらうように仕向ける方法が、実は大きな問題です。それはあくまでも、居住者ないしは居住者団体の自主的主体性を犯すことなく、巧みに誘導された主体性を育てるものでなければなりません。特に居住者相互間の人間関係調整の業務は、管理者自らがこれを背負い込むのではなく、居住者の自覚に期待し、それを誘発し援助するだけの間接的管理に止まるべきです。そこには高度の行政的、政治的あるいは教育的技術手腕が要求されますが、それらは決して上からの押しつけがましい指導といったような形をとってはならないのです。

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