住宅管理と人間関係

良好な人間関係を形成するための要点は、相互の理解と信頼にもとづく協力です。居住者による集団的な苦情や陳情は、今日の住宅団地においては日常茶飯の行事です。これらの多くは、管理者に対する無理解と、これから生じる不信感にもとづくものです。したがって、これらのトラブル解決の道は、直接間接の話合いや、新聞、広報活動などを通じての説明、説得など、真情を露呈しての相互の理解と、それによる信頼を深めていくこと以外にはありません。また、居住者相互間の不平不満やトラブルを未然に防止するためには、新しい集団住宅形式に合致した生活態度を指導し、集団生活の根本理念たる他人に迷惑をかけないという意識を育成し、助長しなければなりません。近代的住宅管理は、以上のような人間関係の調整のほかに、さらに一歩を進めて、トラブルを起こさないですむような、情緒ある人間関係を酸成する必要を痛感させます。団地居住者の特性として、自己中心的な合理性が指摘されていますが、人間の生活は決して客観的合理性で割り切れるものではありません。一つの事象に対する人間の生活感情の反応は十人十色であり、それらの非合理性の接点を円満に結合し包容するものは、親愛の情とか感謝の念とかいった情緒性のみです。客観的合理性は、生産の場においてこそ絶対的指導原理でありえても、住宅団地という生活の場においては、必ずしも絶対的原理ではありえません。近代社会のストレスまん延の現象は、ささいなことからトゲトゲしい神経質な対立感情を誘発しがちであり、これらを救うものは共同生活における人間的情緒です。したがって、人間関係調整の最も積極的な方法は、人々の心に情緒性の重要性を認識させることであり、そのためには、たえず彼らと接触を保って、適時通切な助言と援助とが与えられなければなりません。

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間取り

近代的住宅管理の第3の特色は、人間生活の発展や社会構造の変化に伴って、住宅団地の改造や拡大が行なわれ、管理自体も発展し、さらに積極的に団地計画や住宅の設計に助言と忠告がなされなければならないということです。
基本的住宅管理は、提供された住宅や施設をその目的に従って最も有効に利用できる状態に維持するものですが、近代社会の急激な発展と変化に対処するためには、住宅管理はいつまでもそこに止まることはできなくなってきました。住宅団地の建設にあたっては、科学的な様々な調査に基づいて、ある程度の将来の予測も入れて、人間生活に対応するような住宅団地を計画し設計することはいうまでもないことです。しかしながら、科学的調査も必ずしも完全ではない上に、近代社会の急激な発展は人間生活に急ピッチの変化をもたらし、それはやがて社会的施設の物的な寿命に関係なく、その社会的寿命を急激に短縮しています。昨日まで有用であった高架水槽や汚水処理場が、今日は無用の長物になってしまう例も少なくありません。団地の住宅も施設も人間の生活に奉仕するためのものであってみれば、それは人間生活の変化、発展に対応して、それに適合するように改善され拡大されなければなりません。これを基本的住宅管理に対して、積極的住宅管理と呼ぶならば、債極的住宅管理は、社会的発展に伴う人間の生活水準の向上に適合して、居住水準の向上を図ることです。このような積極的住宅管理は、国民に住宅を提供することを第一義的目的とする公共的住宅の場合に、最も直接的に要求されるものですが、経営を第一義的目的とする民営住宅の場合にあっても、借家人を引き留めて長く利潤をあげるためには、間接的に必要となってくるものです。居住水準の向上は、人々に安んじてそこに定住する気持をおこさせ、この定着性が強くなることは、やがて借家を大切に便用する習慣を養うことになるからです。
この積極的住宅管理は、土述の改善、拡大に止まらず、貴重な住宅管理の実結経験を、将来の団地計画、建設計画に反映させるものでなければなりません。管理の難易、その良否は、ある意味においては建設の良否により決定づけられます。鉄筋コンクリートの建築物は、これを改善し拡大することは、経済 的にも技術的にも容易なことではありません。したがって、団地の選定、建物の配列、住宅の設計、造園ならびに団地内施設の建設は、その団地の存続する限り住宅管理に大きな影響を与え、住宅管理の難易を少なからず左右するからです。積極的住宅管理においては、台所、食堂、家具置場、格納、塵芥処理の方法など、屋内設計ならびに設備についての入居者の要求と嗜好を十分観察し、豊富な知識を入手して、これを建設計画に十分反映させるとともに、団地の快適性のためには、自然環境つまり緑地の規模、空間地の位置と広さ、小径の位置、植裁などは如何にあるべきかについて、また、店舗、集会所、運動場、駐車場などの利用状況から、これらの将来の需要について、団地計画に適切な助言がなされなければなりません。
新しい団地の計画、建設にあたっては、ともすれば最初の資本投下のみを主要なものと考えがちですが、長期的な経済性、効果性の見地からすれば、管理および保全のための経費も同じように重要です。最初の建設費を節約したために、膨大な維持費がかかるのでは、良好な住宅管理とはいえません。すべて経営は経済的、効率的であることを要請されるからです。この点については、特に既存の団地についての経験的実績を生かすことが肝要です。そのためには、保全に関する記録は、それによって材料、設計、設備および自然環境の経済性、効果性についての知識をもたらすように立案されなければなりません。

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