建築工事差止手続の準備

仮処分では、被保全権利と保全の必要性を主張し、それを疎明することが必要です。保全の必要性については、被保全権利があり差止めの対象となっている建築部分が未完成であれば、通常認められるので、被保全権利の疎明資料を取集することが重要です。
建築工事の差止が認められるかどうかは、日照妨害によって被害者が受ける不利益の程度が受忍限度を超えているかどうかの判断によって決まりますが、その判断は、様々の要素を考慮してなされます。
そこで、日照妨害を理由に工事差止の仮処分を申請しようとする場合には、これらの受忍限度の各判断要素について調査し事実を把握し、それを疎明するための資料を収集する必要があります。

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被害の程度を疎明するための資料としては、各種日影図が最も重要なものです。その日影図を作成するには、加害建物と被害建物の配置と外形、加害建物と被害建物との位置関係を把握することが必要で、加害建物および被害建物について、外形図、平面図、配置図などの設計図面、建築確認申請書および確認通知書などの資料を収集しなければなりません。被害建物に関する設計図面などは、被害者の方で所持していることが多く、もしなくても容易に被害者の方で作成できます。加害建物の配置と外形については、まず建築主に対し、説明を求めたり、設計図面などの資料の提供を求めることが重要です。建築主の側で、この求めに応じようとしない場合もありますが、ねばり強く要求する必要があります。なお、条例や行政指導により、建築主側から被害者にこれらの建築内容を知らさせるような形態をとっている地方公共団体も少なくなく、これらの地域では容易に知ることができます。また、既存の建物による日影が存在する場合には、その建物の配置と外形を調査し、その日影図をも作成する必要があります。日影図には、平面日影図、立面日影図、立体日影図、複合日影図、日影時間図、日照断面図、天空図などがあり、その他に、披害建物の開口部ごとに、冬至や大寒時などの特定の日の日影時間帯を表示した一覧表を作成すると、被害の程度がより明らかになります。
仮処分では、加害建物と被害建物の敷地の属する用途地域、防火地域、高度地区などの指定、日影規制に関する条例の指定、建ぺい率、容積率、高度制限、周囲の土地の利用状況、建物の配置状況、建物の中高層化状況、建物の利用状況などを明らかにする必要があります。これらについては、建築確認通知書、用途地域図、日影規制の規則区域図、航空写真の地図、現在および過去の現場付近の写真などで疎明することになります。
加害建物に違反がある場合には、設計図面に違反部分を特定して表示するなどして、違反の内容を理解しやすい資料を作成する必要があります。加害建物の配置や外形を変更すれば日照の被害が軽くなる場合には、それを明らかにするために、その変更図面と変更された建物による日影図を作成する必要があります。
増改築したりして、被害建物の配置や外形を変更しても、日照妨害を防ぐことができない場合には、それを明らかにするための図面などの資料を取集したり、作成したりする必要があります。
加害建物の用途については建築主から知らされることも多く、また設計図面などからも比較的容易に知ることができ、被害建物の用途とともに疎明に苦労することは少ないはずです。
被害者が長期間十分な日照を受けて生活してきたような場合には、それを主張し疎明する必要がありますが、疎明資料として、住民票、建物登記簿謄本、居住を開始したときからの写真などを用意しましょう。
建築主側と被害者側との交渉の経過については、交渉に関する文書の授受がある時にはその文書、メモ、建築主側が工事を強行しようとしている場合にはその写真などで疎明することになりますので、それらの資料を取集する必要があります。
建築主と被害者とで建築制限についての合意がある場合に、合意文章があればそれで疎明することになりますが、無い時にはその合意の場に立ち会った人などから合意についての証明書を取っておく必要があります。

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