日照妨害による損害

直射日光には部屋の温度を上昇させる熱効果があり、また部屋を明るくする光効果もあります。日照を妨害されるとこの熱と光の効果が損なわれ、光熱費などが増大することになります。また、住宅地における土地や建物の売買や賃貸などの取引では、日当りが良いかどうかはその価格にかなりの影響を与え、日照を妨害されると土地や建物の価格が低下することが多くなります。このことは不動産の取引に関する広告に必ず日当り状況についての記載があることからもわかります。さらに日照を妨害されると、住環境の悪化などにより精神的苦痛も生じ、日照妨害が不法行為の成立要件を充たしている場合に、このような財産的損害や身体的精神的損害の賠償を加害建物の建築主に請求することができるかどうかが間題となります。

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光熱費や乾燥費が日照を妨害されたことにより増大した場合には、その増加した金額が一応の損害金額となります。また、日照を妨害されたことにより、採光または暖房を得るため、新たに設備や器具を購入設置したり、家屋を一部改造したりすることもありますが、その費用も広い意味では損害といえます。
公共施設による日照妨害については、通達によって費用負担の基準が定められ、建築主側でこの種の光熱費や乾燥費の増大に伴う費用を負担することになっています。
しかし、裁判例では、これらの損害については認められていません。ほとんどの場合に、立証がないとの理由で棄却されています。
住宅地では、日照を妨害されることにより土地建物の価額が低下することは誰もが認めるところです。しかし、その低下した金額を算出することやその低下を証明することは困難な間題で、地価の自然高騰を考えると、日照を妨害される直前に買い妨害された直後に売却したような場合以外は、その全額の算出は難しくなります。結局その土地建物について、日照を妨害されていないと仮定した場合と実際に妨害されている状況との両方を鑑定し、低下した金額を算出するほかありません。
高層化の傾向にある地域では、この算出はもっと困難となります。高層建物の建築により日照を妨害され、その意味では価額は低下しても、一面では高層化が促進され、高度利用されている地域として価値が高まることもあり得るからです。仮に低下した金額を算出することができ、その証明ができても、受忍限度や因果関係との関係で、加害者側にその金額のうちどの程度負担させるべきかとの間題が残るために、全額がそのまま認められることはありません。例えば南側隣地に受思限度を超えない違法な建物が建築されても、建物がないときよりは日照は妨害され、多少の土地価格が低下することから、受忍限度を超える建物建築により低下した価格のすべてを加害者に負担させることは不合理だからです。裁判では立証が難しいということもあり、この損害を認めたというような例はあまりありません。
日照を妨害されたために、病気にかかったり病状が悪化したことにより、治療費を支出することがあります。しかし、この治療費を損害として賠償を求めるには、日照の妨害と病気との因果関係の証期が極めて困難です。その他、庭の植木の成育不良や、カビの発生などの日照妨害によって生活上種々の不利益が生じることもありますが、それらの損害を明確に金銭で算出することは不可能だといえます。
日照妨害により受ける精神的苦痛に対しては慰謝料が認められています。この慰謝料の金額は、受忍限度の各判断要素、特に被害の程度を考慮して決められますが、裁判例では認められる金額は一般的に低額で、100万円以下がほとんどのようです。

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