公共施設による日照被害の補償

公共施設であっても、その施設が他人に対し日照被害を与えると、不法行為責任を問われることがあるのは、個人や会社の場合と同様ですが、国や地方公共団体の場合は個人や民間の会社が、法律関係が曖味のまま和解をする場合があるのと異なり、金銭の支出には、明確な根拠が必要とされるために、日照被害の賠償金を被害発生前に支払うとすれば、予想される日照妨害が不法行為に該当するか、被害額はどれくらいかという問題を、担当の公務員に判定させることは非常に困難です。そのため、接衝にあたる公務員は消極的な態度をとりがちです。そこで、昭和39年6月、政府は、日影、臭気、騒音、水質汚濁等の被害について、社会生活上受忍すべき範囲を超えるものである場合には、別途、損害賠償の請求が認められることもあるために、これらの損害等の発生が確実に予見されるような場合には、あらかじめこれらについて賠償することは差支えないものとするとの閣議了解事項を定め、被害発生前の賠償に道を開きました。

スポンサード リンク
間取り

この閣議了解を具体的に実施するために、建設省では公共施設の設置に起因する日照阻害に係る費用負担基準を定めました。
閣議了解は損害等の発生が確実に予見される場合といっていますが、損害の発生原因も、損害の態様も多種多様であり、あらかじめ確実に知ることは大変困難です。しかし、日照彼害の場合は、予定される公共施設の位置や大きさ等が分かれば、どの程度の日影が生じるかを把握することは、比較的容易であり、社会生活上受忍すべき範囲を、日影時間等によって、定量的に定めることができるので、この補償基準の設定となったものと考えられます。
この基準は建設省の直轄事業に係る公共施設の設置により生じる日照被害について適用されます。建設省の直轄事業には、道路や河川の事業等があります。
どの程度の日影時間を生じると、受忍限度を超えることになるかという基準は、都市計画法の用途地域ごとに、それぞれ受忍限度の日影時間を定めています。その基準は次のとおりです。ただし、日影時間は、冬至の午前八時から午後四時までの真南に面する居室の開口部で計り、この日影時間を超えると受忍限度を超えるものとしています。
この補償は、全ての損害をてん補するという前提には立っていません。公共施設の設置により生じた日影による被害のうち、失われた暖かさを回復するための暖房器具の購入費および保守費、明るさを回復するための照明費、洗たく物の乾燥費ないし合計額の一定割合の額を補償することになっています。
工事が完了した日から一年を経過した日までに請求がなければ支払われません。設計図等で被害の発生が確実に予測される場合は、工事完了前でも請求できると解されています。もちろんこの期間は民法上の不法行為による損害賠償の時効期間を短縮するものではないので、この期間が過ぎても、民法上の損害賠償の請求は可能になっています。

間取り
建築予定の告知/ 日照紛争に関する交渉/ 建築制限の合意/ 分譲地における建築制限/ 借地上建物の増築による日照被害/ 建築工事差止の仮処分/ 建築工事差止手続の準備/ 建物取壊し請求/ 塀による日照妨害/ 損害賠償請求の法的根拠/ 日照妨害による損害/ 公共施設による日照被害の補償/ 建築工事の妨害禁止/ 建築主側からの損害賠償の請求/ 眺望の価値/ 一般住宅の眺望/ 観光旅館と眺望/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサード リンク

プライバシーポリシー