観光旅館と眺望

眺望の利益が争われるケースの中では、観光旅館のケースが最も早い時期に発生し、数も多くなっています。旅館を建てる場合は多かれ少なかれ部屋からの眺めをよくしようと設計するのは当然ですが、自分の庭だけでなく、さらに遠くに広がる眺望を景観として取り入れていることが多く、中間に視界を遮る建物が建つと、眺望のほとんどを景観に依存している旅館やホテルの場合は、観光施設としては致命的な打撃を受けることになります。
観光旅館は、特定の場所がその場所からの眺望の点で格別の価値をもち、このような眺望利益の享受を一つの重要な目的としてその場所に建物が建設された場合に該当することが多くなります。しかし観光旅館でも、眺望利益が常に保護されるわけではなく、眺望の妨害によって受ける被害の程度や侵害者の建築の態様など様々な要件を検討したうえで、裁判所は法的に保護するかどうかを決定するのです。

スポンサード リンク
間取り

実際に建築の一部禁止を命じた例もありますが、そういう判例は異例に属し、眺望の被害は認められても、厳しい要件のために建築差止は認められないという結果になる可能性の方が大きいといえます。
眺望の利益が争われた初期の判例をみると、眺望主妨害者の権利濫用かどうかについて、権利者において実際に権利内容の実現による利益を図る目的を有する場合でも、他にその日的を達するに十分な時期方法があるにもかかわらず、いたずらに他人を害する目的をもってその他人を害する時期方法を選んで権利を行使することは、これまた権利の濫用との前提のもとに、眺望の妨害とならないように敷地を選択する余地があったにもかかわらず眺望を害し、旅館としての効用を損なわんとする害意のもとに敷地を選択したために、その建物建築は権利濫用にあたり、これによって眺望を阻まれた旅館の建物所有権の行使を違法に妨害した、と判断しており、所有権妨害排除請求権に結びつく論理構成をとっています。
次に現われた判例では、眺望は旅館建物の所有権および占有権に含まれた一種の権能として存在するとの主張に対し、独自の見解にすぎないとして排斥し、旅館は眺望を営業利益に利用しているだけで、排他的に眺望を利用する権能を有するとは解されないとしています。その上に立って、しかしながら、かかる眺望を取り入れ、これを重視した旅館営業がなされている場合に、隣地所有者が眺望を妨害するごとき建造物を設けたときは、営業妨害の意図があったときはもとより、かような意図がなくとも眺望の阻害が隣地所有者の不当な権利行使の結果生じたものであって、受忍限度を超える侵害であれば、営業上の利益侵害によって生じた損害賠償を求め、ときには侵害の排除を求めることも許されると解し、受忍限度を超えるかどうかの判断基準について、眺望を利用した営業期間の長短、眺望を阻害される程度、両者の環境、妨害者の建造物設定の方法やその目的等諸般の事情を考慮して決めるべきだ、と述べ、観光旅館の眺望につき、初めて明確な形で受忍限度論を採用していました。
次の判例では前記と同様の立場をとりつつ受忍限度の判断について、眺望の阻害は、騒音や臭気による生活妨害のように積極的侵害ではなく、消極的侵害のうちでも日照通風のょうに快通で健康な生活の享受に不可欠の生活利益を侵害するものでもなく、営業上の利益という純粋に財産上の利益に関するものであるために、騒音臭気や日照通風等による生活妨害と同一の標準によって受忍限度を判断することはできず、より慎重厳格な衡量が必要であることを判示しています。

間取り
建築予定の告知/ 日照紛争に関する交渉/ 建築制限の合意/ 分譲地における建築制限/ 借地上建物の増築による日照被害/ 建築工事差止の仮処分/ 建築工事差止手続の準備/ 建物取壊し請求/ 塀による日照妨害/ 損害賠償請求の法的根拠/ 日照妨害による損害/ 公共施設による日照被害の補償/ 建築工事の妨害禁止/ 建築主側からの損害賠償の請求/ 眺望の価値/ 一般住宅の眺望/ 観光旅館と眺望/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサード リンク

プライバシーポリシー