間貸と転貸

私の借りている家は日本式家屋で、八畳、六畳、六畳、四畳半、三畳の五間あります。家族三人きりなので、あまり使わない四畳半一間を他人に貸しました。私としては間貸は転貸にならないと聞いたので別に家主に相談もせずに貸したのですが、家主は無断転貸だといって契約解除してきました。どうなのでしょうか。
転貸とは、本来賃借人が貸借物を、その賃借権の範囲内で、さらに第三者に賃貸することをいうのですが、民法六一二条の契約解除の前提となる無断転貸という場合の転貸とは、賃借人がその賃借権に基づき、さらに第三者をして、独立して、賃借物の使用収益をなさしめることをいい、それが有償たると無償たるとを問わないとされています。したがって、契約解除を前提としての転貸ということを考えるときは、まず、転借人が独立の占有をもっているかどうかということが問題になります。独立の占有がなければ、ここにいう転貸借とはいえません。
そこで、本問の間貸は転貸といえるかという問題に入りますが、「転賃借たるためには、物の一部たると全部たるとを問わない」というのが判例理論になっています。したがって、この理論によれば間貸は当然に転貸に該当するということになります。もっとも、これに対しては、「民法六一二条は、賃借人が賃借物の全部又は其重要部分を第三者に使用、収益せしむることにより、賃借物に対する事実上の支配を有せざるに至りたるときは、賃貸人の賃借人に対する信頼は、もはや将来の保障とならざるを以て、之を賃貸借の解除原因としたるものなれば、間貸を目して、直に民法六一二条に所謂転貸に該当するものと解すべきにあらず」とする反対説もありますが、これは通説ではありません。

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間取り

一概に間貸といっても、それにはいろいろの態様がありますから、果たして転貸に該当する間貸であるか、どうかということは、個々の場合について決めるよりほかありません。それでは、どういう場合に、間賃が転貸に該当するかというと、一般的には、第三者(間借人)の使用、占有関係が独立のものであるかどうか、つまり第三者の使用、占有関係が賃借人のそれに従属するものでないかどうかということが基準になるといえます。もうすこしわかりやすくいえば、間借人が、賃借人(間貸人)に間代を払って、独立の世帯をもち、独立の生計を営んでいるような場合は、間借人に独立の占有があるといえますから、転貸に該当することになりますが、間借人が賃借人の親戚で、間代も払わず、賃借人の世帯の一員として暮しているような場合は、間借人に独立の占有があるとはいえませんから、転貸に該当しないということになります。ふつう、間代を支払っている場合は間借人に独立の占有があり、間代を支払っていない場合は独立の占有がないことが多いのですが、独立の占有があるか否かは、必ずしも間代支払の有無と関連するものではなく、間代の支払がなくても独立の占有をもつことがあり、この場合には間代の支払と関係なく転貸があったとみられますから注意してください。なお、ついでながらいえば、賃借人の妻子その他、賃借人の主宰下にこれと現実に共同生活を営んでいる親族、内縁の妻、事実上の養子など実質的に家族を構成しているものとみられるもの、または雇人、使用人などは独立の占有者とは認められません。
さらに敷衍して述べれば、第三者の使用関係が、一時的ないし非継続的である場合、使用部分が特定していない場合、間代を支払っていない場合、賃借人と第三者との間に情誼的、恩義的関係が存する場合などには、概して第三者に独立の占有を認め難いことが多いのですが、この基準の一、二にあてはまるからといってただちに独立の占有を否定することは早計です。要は、賃借人が、その第三者に対し、家屋の使用中止または立退きを要求したとき、第三者においてその要求に応ぜざるをえないような関係にあるものと認められる場合でなければなりません。
それから、実務上の問題として、賃借人に対する建物明渡しの債務名義、判決、和解調書などの効力は、強制執行につき、当然、賃借人の有補助者、家族、使用人などに及ぶとされていますが、独立の占有をもつ間借人には及びませんから、独立の占有をもつ間借人があるときは、この者も訴訟の相手方に加える必要があります。
以上いろいろと述べましたが、ふつう間貸といわれる場合は、間借人にその部屋の独立の使用、占有を許しているのが常ですから、家主の承諾をえずに間貸をすると、無断転貸として契約解除をされてもやむをえないということになります。

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