ビル工事と工事前の事故予防対策

私の隣地に、近く八階建のビルが建築されるということを聞きました。ビルの建築工事で家が傾いたといった話などをよく聞きますので、工事が始まる前に建設会社と話し合って予防対策を講じておきたいと思うのですが、どんな方法で、どんな点に注意して交渉すればよいのでしょうか。
都市におけるビル建築や地下鉄工事など大規模工事の激増にともない、騒音、振動、地盤沈下、これらに起因する建物の損壊、井戸の枯渇、安眠妨害、営業妨害、落下倒壊、道路使用、交通妨害、道路汚染といったいわゆる現場公害に関する苦情が非常に多くなりました。これらは建設業者の故意過失により生ずる場合もありますが、工事の施工にともない避けることのできない場合もあります。前者は当然建設業者の不法行為(故意または過失により違法に他人に損害を与える行為)となりますが、後者は一種の公害であって、日本の民法にはドイツ民法のようにとくに規定がなく、問題を生じます。ですから、建設業者との交渉も個々の場合に応じて緩急よろしきをえることが肝要です。原因が故意過失による場合は遠慮はいりませんが、そうでない場合は相手方にもよりますが、高飛車にでることは必ずしも得策ではありません。

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交渉の相手方は工事現場の責任者である現場所長です。もちろん、細かい打合せは所長の命を受けた係員とすることが多いでしょう。なお、現場所長が言を左右にして応じない場合は、建設業者の最高責任者である社長なり、店主に直接申し入れます。場合によっては注文者に申し入れると効果的であることもあります。
交渉申入れの時期として最近は公害問題がやかましいので、建設業者側でも工事現揚の近隣には心をくばっていますから、折目正しい建設業者ならば、着工前に近隣の挨拶回りをするのが通例ですから、その際、事故の予防措置について話しあいたい旨を申し入れたらよいでしょう。なかにはなんの挨拶もなく工事を始め、労務者が水道を使わせてくれなどといってくる厚かましい業者もいますから、こんな場合はこちらから出向いてどこのなんという業者か確かめ直接申し入れる必要があります。
交渉の形式として単独交渉か集団交渉かですが、これも場合により、また相手方次第ですが、一般的にいえば、集団交渉のほうが立場が強く、業者はこれを避けたがります。
原状回復を求めるにせよ、損害補償を求めるにせよ、現状がはっきりしていないと後日紛争の種となりますから、建設業者立会いのうえ現状を確認しておくことが必要です。これは建設業者側にとっても重要なことで、今日では現場写真をとり、写真により難い箇所は書面に残しておくことは常識となっていますから、建設業者にこれを要求すればよいのです。
どういう工事をどういう工程でやるか、安全施設や防護措置はどうなっているかなどを確かめます。これによってどういう危険や損害が起こりうるか予測されるでしょう。
例えば家屋が傾く心配があるといえば、建設業者は危険の度合いを考え補強工事をするとか、工法を変えるとかします。それほどでもなければ後日の補修を約束するでしょう。また、原状回復が困難ならば、改築か損害補償か、改築の場合の費用負担をどうするかなども問題となります。さらに、店舗の移転が必要となることもあり、移転費用や営業補償の問題も起きますが、営業補償は算定基礎が明らかでなく、建設業者としてはあらかじめ確定金額を約束することを嫌いますから、あまり多額の要求を固執すると話はまとまらないことが多いようです。
補修の時期は建物の損傷などは施工中一度とはかぎりませんから、応急措置のほかはふつう、工事完了時です。
書面の形式として後日の証しとして交渉の結果を書面にしておいたほうがよいでしょう。契約書、協定書、覚書、念書などがあります。前の三つは契約ですから両当事者が記名押印しますが、念書は一方当事者が相手方に差し入れるものですから、建設業者が記名押印するだけです。受ける感じは契約書が一番重昧があり、協定書がこれにつぎ、覚書、念書の順となりますが、約束を証する書面としての効果はいずれも変わりません。実際には、手軽な念書の形で処理される場合が多いようです。
記載内容は個々の具体的場合により異なりますが、手許の事例では土地、建物その他有形のものに対する損害について原状回復と損害補償を約する趣旨の念書が多く、建設業者としても物的損害に対する請求については、目で確かめられますから、不当な要求でないかぎり応ずるのが通例です。なお、写真撮影から、安全施設の措置、作業時間の制限、損害に対する措置、老幼病者の転居、トラック等の出入口の指定、約定違反に対する違約金、営業補償および慰謝料として確定金額の支払(半額は前払い)に至るまで微に入り細にわたって記載した事例もあります。しかし、これは早期解決をしないと注文者の計画に能郎をきたすおそれがあって、注文者の要請で応諾したもので異例のことです。

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隣りが境界ギリギリに家を建てている/ 境界ギリギリに家を建てられる場合/ ビル工事と工事前の事故予防対策/ 建築工事のため隣地に立入ることができる/ 地下掘削工事により家が傾いたとき/ 建築物用地下水の汲み上げにより家が壊れたとき/ 工事の繰り返しで地盤沈下し家が壊れた/ 工事人の過失で家が壊れた/ 通行中に工事の落下物でケガをしたとき/ 他人の土地を通さなければ水道ガス管を引けないとき/ 隣りまできている水道ガス管から分けてもらうには/ 工場の地下水の汲上げで井戸が涸れた/ 道路工事で私道の水道ガス管が壊されたとき/ 地下鉄工事で水道管が破裂したとき/ 個人専用の電柱から電気をひくには/ 高圧線が通っている土地を買ってしまったら/ 隣りが盛土したために雨水が流れ込み水たまりになった/ 雨水が隣りから直接注ぎ込む場合/ 他人の土地を通さなければ下水を流せないとき/ 隣地を通っている排水管の修理/ 共同の排水溝の管理費用の分担/ 住宅地の下水が田に流れこんでくる/ 浄化槽が台所の近くに造られたとき/ 共同の浄化槽の管理費用の分担/ 便所の汲取のための隣地の使用/ 違反建築でない建物による日照妨害/ 日照妨害により生計のための鳥が死亡/ 建築協定付の土地を買うと/ 崖崩れで近所の家を壊したとき/ 隣りの失火により家が焼けたとき/ 借家人の失火により家を焼いたとき/ 工事現場の溶接の火花で家が焼けたとき/ 住宅密集地でプロパンガスが爆発したとき/ 危険物運搬車の事故で家が焼けたとき/ 隣りが火事のときに投げ込まれた荷物/ アパートの隣室の音がうるさいとき/ アパートの隣人の失火で家財道具が焼けたとき/ アパートの階上の人の過失で水漏れしたとき/ 分譲マンションの管理費が不当に高いとき/ 分譲マンションの管理会社の変更/ 分譲マンションの屋上は共有/ ペット禁止の特約のあるアパート/ 団地の水洗トイレの管理/ 団地の火事の消火の水で水浸しになったとき/ 分譲マンションの専用部分の修繕/ 近所の商店で共同ビルをつくるには/ 再開発組合の決定に反対できるか/ 共同ビルの立て替えは反対者が一人でもいればできない/ 商業地域における日照妨害/ ビル工事の騒音振動による売上減少/ 隣りの工場の騒音振動で営業ができないとき/ 附近一体の地盤沈下で営業できないとき/ 電光版がビルに遮られて売上損害をうけたら/ 眺望を遮られて商売上の損害を受けたら/

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