通行中に工事の落下物でケガをしたとき

歩道を通行中、工事現場の鉄パイプが落ちてきて頭にあたり、頭蓋骨骨折になり、それ以来働けなくなってしまいました。誰にどのような責任を追及できるでしょうか。
歩道を進行中に、工事中の鉄パイプが落ちてきて頭にあたり、頭蓋骨の骨折をおこしたとすれば、その骨折が鉄パイプの落下に起因する以上、骨折をおこした被害者は、加害者に対して損害の賠償を請求することができることは当然です。ただ、この場合、誰が加害者になるかが問題です。鉄パイプが落ちたことについて、その鉄パイプを取り扱っていた作業員に故意または過失があったときは、その作業員に不法行為(故意または過失により違法に他人の権利を侵害する行為)にもとづく損害賠償の義務があることは当然で、その工事を請け負った建設会社も、作業員の使用者として損害賠償の義務(使用者責任を負うことになります。そして、その工事が下請業者によってなされていた場合には、ふつう元請業者も下請業者と連帯して、損害賠償の義務を負うことになります。

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誰が加害者として損害賠償責任を負うかについての一応の考え方をのべましたが、ふつうビル建築工事の現揚などでは、高い所から物が落ちないように防護網その他の設備をすることが要求されています。そのような防護網その他の設備がなされ、しかもその設備が完全であって穴などあいていなければ、作業員が誤って物を落したとしても、歩道までは落下しないはずですが、落下したとすれば、防護網その他の設備をしなかったか、設備をしたとしてもなんらか不完全な点があったものと考えられます。そこで、工事現揚にこのような設備をしなかったか、またはしたとしても不完全であったために、鉄パイプが落ちて、そのためにケガをしたなどの損害が発生したとすれば、民法の「土地ノ工作物ノ設置又ハ保存二瑕疵アルニ因リテ他人ニ損害ヲ生シタルトキ」に該当するものとして、その設備の占有者(事実上の支配者)または所有者(所有者の場合には、たとえ故意または過失がなくても)が損害賠償の義務を負うことになります。もっとも、物の落下を防ぐための防護網その他の設備がこの「土地ノ工作物」にあたるかどうか問題であって、この点に関する判例などはまだみあたりませんが、この土地の工作物の範囲をかなりひろくみとめようとする最近の学説、判例の傾向からみますと、あなたの場合にも、この規定を適用して解決できるものと考えます。最近では、この規定の趣旨を拡張して、物的な企業設備一般に適用し、できれば、企業の被用者の過失による行為についても、企業の人的瑕疵として、この規定によって無過失責任を認めるべきではないか、というような主張も有力な学者によってなされているところをみると、本問のような場合に、この規定を適用することは、十分合理性があるように考えられます。
なお、このように、この土地の工作物責任の規定が適用されるとすれば、損害賠償の責任を負う者は、工作物の占有者または所有者ということになりますが、建設工事の請負の場合は、仕事の目的物は、仕事完成後に注文者に引き渡されるのをふつうとし、一切の材料を注文者が提供する場合ならば格別、そうでなければ、仕事の完成前は、目的物の所有権は、請負人に試するものと考えられますから、あなたの場合も、請負人が工作物の占有者であると同時に所有者であると考えられ、無過失責任を負うことになります。そして、問題の鉄パイプが作業員の過失によって落ちたとすれば、被害者に賠償金を支払った請負人は、その作業員に対して求償することができます。
落ちてきた鉄パイプで頭蓋骨骨折をおこしたとすれば、まず、医師の診察料、病院の入院費等の治療費を損害として賠償の請求が認められることはいうまでもありませんが、入院中、附添人をつけたとすれば、その附添費も請求できます。次に、その負傷のために働くことができなくなったとすれば、治療期間中の休業あるいは勤め先が休職になったこと等による収入の減少も損害として賠償の請求ができます。さらに、万一頭蓋骨骨折のためになんらかの機能障害をもたらし、一生働くことができなくなったとすれば、死亡するまでに得べかりし利益の減少した分も損害としてその賠償を請求することができます。なお、以上のほか、負傷をしたことにより精神的打撃をうけることは当然ですが、精神的損害の賠償(慰謝料)も、あわせて請求することができます。ただし、慰謝料額がどのように算定されるか、具体的には明確な基準がなくむずかしい問題です。最終的には、社会通念とか、裁判官の良識とかによってきめられることになりますが、一般的にいえば、当事者双方の社会的地位、職業、資産などに加えて加害の動機、態様など諸般の事情を考慮して、公平の観念にしたがってきめられることになります。

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