工場の地下水の汲上げで井戸が涸れた

私のところは、昔からきれいな水の出る井戸を使っていましたが、近所に工場ができて深い井戸を掘り、大量の地下水を使うようになってから井戸が涸れてしまいました。どうしたらよいでしょうか。
このような場合には二つのことが問題になります。その一は、工場が多量の地下水を使用すると自分の家の井戸が涸れてしまうおそれのあるときに、工場の井戸の掘削や使用を禁止することができるかということ、その二は、現実に井戸が涸れしまった場合に損害賠償の請求ができるかということです。ここでは、主として後者をとりあげてみましょう。
次のような判例があります。ある人が井戸水を利用して料理店を営業していたところ、それを知りながら近所の人がいくつも掘貫井戸を掘り、多量の地下水を使用したために料理店の井戸が涸れてしまったというケースで、大審院は、掘貫井戸による地下水の独占は権利濫 用となり、そのために料理店のこうむった損害を賠償しなければならないとしたのです。
このように、本問の場合も、工場に対して自分の井戸が涸れたことによりこうむった損害の賠償を請求できますが、この際に注意しなければならないことは、損害賠償を請求する側が因果関係の存在を証明しなければならないとされていることです。つまり、井戸が涸れたのは、その工場が地下水を汲み上げたのが原因だということが明らかにできなければなりません。損害賠償の範囲は、貰い水に要した費用、取水のためさらに深く井戸を掘り下げねばならなくなっむた費用、新たに水道を引くなど他の手段をとらなければならなくなったためにかかった費用などがこれに入ります。

スポンサーリンク
間取り

井戸が涸れないような予防手段、すなわち工場の井戸の掘削や使用を禁止する法的な手段は、残念ながら今のところ認められていません。水道設備を備えない工場にあなたの費用でこれを備えさせ、後に相手方にその費用を支払わせることも考えられますが、現実には無理だと思われます。
本来、土地の所有権はその上下に及ぶとされていますので自分の所有地内なら井戸を掘って地下水を利用するのも法律の認める権利行使の範囲内なのですが、ある土地で井戸を掘ると他の井戸が涸れるとか、地盤沈下をおこすとか他に影響を及ぼす度合が強いので、前述の判例では、その権利の行使が社会通念上他人がそれを認容するのが相当と認められる程度を超えたときは、権利の濫用となり、不法行為(故意または過失により違法に他人に損害を与える行為)として損害賠償の責任を負わなければならないとする態度が示されたのです。妥当な判決と思われますが、このように、他人の権利を害さない限度でしか自分の権利の行使が許されないとすると、どうしても既存の権利が保護されることになりやすく、時間的に早く掘った方が優先する結果にもなりかねません。地下水の利用については、適切な立法による互いに公平に利用しあえるような形での解決が望まれるわけです。
地下水利用については工業用水法がありますが、この法律は、地下水利用の規制による工業の健全な発達と地盤沈下の防止に役立つことを目的としており、特定の指定地域にのみ適用され、内容は工場が井戸をもうけるにつき許可制を定めたぬのですから、本問のような場合の解決には役立たないのが現状です。

間取り
隣りが境界ギリギリに家を建てている/ 境界ギリギリに家を建てられる場合/ ビル工事と工事前の事故予防対策/ 建築工事のため隣地に立入ることができる/ 地下掘削工事により家が傾いたとき/ 建築物用地下水の汲み上げにより家が壊れたとき/ 工事の繰り返しで地盤沈下し家が壊れた/ 工事人の過失で家が壊れた/ 通行中に工事の落下物でケガをしたとき/ 他人の土地を通さなければ水道ガス管を引けないとき/ 隣りまできている水道ガス管から分けてもらうには/ 工場の地下水の汲上げで井戸が涸れた/ 道路工事で私道の水道ガス管が壊されたとき/ 地下鉄工事で水道管が破裂したとき/ 個人専用の電柱から電気をひくには/ 高圧線が通っている土地を買ってしまったら/ 隣りが盛土したために雨水が流れ込み水たまりになった/ 雨水が隣りから直接注ぎ込む場合/ 他人の土地を通さなければ下水を流せないとき/ 隣地を通っている排水管の修理/ 共同の排水溝の管理費用の分担/ 住宅地の下水が田に流れこんでくる/ 浄化槽が台所の近くに造られたとき/ 共同の浄化槽の管理費用の分担/ 便所の汲取のための隣地の使用/ 違反建築でない建物による日照妨害/ 日照妨害により生計のための鳥が死亡/ 建築協定付の土地を買うと/ 崖崩れで近所の家を壊したとき/ 隣りの失火により家が焼けたとき/ 借家人の失火により家を焼いたとき/ 工事現場の溶接の火花で家が焼けたとき/ 住宅密集地でプロパンガスが爆発したとき/ 危険物運搬車の事故で家が焼けたとき/ 隣りが火事のときに投げ込まれた荷物/ アパートの隣室の音がうるさいとき/ アパートの隣人の失火で家財道具が焼けたとき/ アパートの階上の人の過失で水漏れしたとき/ 分譲マンションの管理費が不当に高いとき/ 分譲マンションの管理会社の変更/ 分譲マンションの屋上は共有/ ペット禁止の特約のあるアパート/ 団地の水洗トイレの管理/ 団地の火事の消火の水で水浸しになったとき/ 分譲マンションの専用部分の修繕/ 近所の商店で共同ビルをつくるには/ 再開発組合の決定に反対できるか/ 共同ビルの立て替えは反対者が一人でもいればできない/ 商業地域における日照妨害/ ビル工事の騒音振動による売上減少/ 隣りの工場の騒音振動で営業ができないとき/ 附近一体の地盤沈下で営業できないとき/ 電光版がビルに遮られて売上損害をうけたら/ 眺望を遮られて商売上の損害を受けたら/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー