共同の排水溝の管理費用の分担

私の土地と隣地との間に排水溝がありますが、不衛生ですのでコンクリートの蓋をしたいと思います。この費用は隣りも分担すべきだと思いますが、請求できるでしょうか。
境界線上にある構築物についてはしばしば紛争が起こります。それはその所有権を確定するのが困難なことが多いからでしょう。そこで民法は規定をもうけ、その所有関係が不明な場合は、境界線上の界標、囲障(ヘい)、溝渠(みぞ)は相隣者の共有に属するものと推定しています。本問では、所有関係がどうなっているのか不明ですが、不明であれば、共有関係にあるものとして処理して差支えないと思います。そこで本問の排水溝が共有だとすれば、その管理はどうなるのでしょうか。民法では、共有物の管理は共有持分の価格に応じその過半数をもって決するとされていますが、保存行為については単独でしてもよいと規定しています。

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保存行為というのは、財産の滅失、毀損を防止してその現状を維持する行為を指すものと考えられていますので、例えば共同排水溝の修理をしたり、あるいは掃除をしたりするのがこの保存行為となり、単独でしてもよいことになりますが、これに蓋をするのが保存行為といえるかどうかは疑問です。というのは、保存行為というのはあくまでその現状を維持することをいいますが、蓋をすることは少なくともこれを改良することになるからです。かといって排水溝に蓋をするのは、現在ではあたり前のことですから、保存行為ではない、つまり隣人が反対をすれば単独ですることはできないと考えるのもあまり形式的すぎる といえましょう。そこであまり高額でない市販の蓋をするのであれば、前述の保存行為と考えて単独でしてもよいと考えたほうが妥当でしょう。
あなたが単独で蓋をしたり、掃除をしたりした場合、費用は、共有物の管理費用になりますので、その費用は、その持分に応じて各共有者が負担するものとされています。その持分の割合は共有関係が成立する際、協議によって定めることが多いのですが、もしこれが不明な場合は、民法上平等の割合によるものとされています。したがって、あなたの場合も隣人と二分の一ずつの持分をもって排水溝を共有することになるでしょう。ですから、排水溝の蓋をつくった場合、あるいは、掃除のため人夫を頼んだ場合などは当然隣人と半分ずつ費用を負担することになります。そこで実際には、半分の費用をあらかじめあなたが受領した上で工事を進める場合もありましょうが、もしあなたが全額を負担して工事または掃除を完了したということになれば、その半額は隣人に対して請求できます。
なお、側溝が私道の脇にもうけられている場合には、この側溝は土地の定着物で土地の構成物として土地と一体に扱われますから、その土地の所有者のものということになります。何人かの所有の側溝が接続して公道に通じているといった場合には、明確な契約書がなくても、全員が共同でその側溝を排水のために使用するという契約が結ばれているということになりますので、その契約の趣旨から当然にその修理や清掃は全員ですることになりますし、その費用は側溝の長さにより按分して負担することになります。しかし、契約関係にある場合には、蓋をするというような側溝を改良することは、全員の同意がなければできないことになります。自分のところだけに蓋をするのは、他の人の同意は必要ありません。

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