工事現場の溶接の火花で家が焼けたとき

隣りでビルの新築工事をしていますが、先日熔接の火花が飛んで私の家のほか三軒が火事になり、全焼してしまいました。建設会社に損害の賠償を請求しましたところ、下請の臨時の熔接工がしたことだから責任を負わないといっています。こんな場合、だれに損害賠償を請求すればよいのでしょうか。
熔接の火花が飛んで火災になったとき、業者に失火責任法が適用されるかどうかは、問題のあるところです。もちろん請負工事中の建物を焼いた場合には適用されません。
火事は自分の財産を焼失するのがふつうだから各自それぞれ注意を怠らないのが常であり、それでも失火するのは失火者にも許されるべき事情が少なくない、しかも火事が発生すると日本のように木造家屋が多く、空気が乾燥していて、建て混んだ住宅環境では防火や消火の施設、能力が不足のため損害を意外に拡大させる危険性のあることなど考慮して失火者の責任を軽減しているのが失火責任法の趣旨であると考えられています。

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失火の意味を判例では、「あやまって火を出して火力の単純な燃焼作用によって財物などを滅失、破損させる」こととしています。ですから、火薬類の爆発、落雷などは失火に入らないとし、漏電などの場合は失火としているようです。
熔接にはアセチレン熔接、電気熔接などがありますが、その火花によって火災になった場合、やはり失火に該当しますから、失火責任法が適用されると思います。ただ失火責任法の制定趣旨あるいは危険責任主義(危険のあるところに責任を負わす)の立場から、火災になりやすい危険物を取り扱うことによって利益をあげている業者にまで適用を及ぼすのは不合理ではないかとの疑問が生じます。しかしこれは、危険物を取り扱う者に高度の注意義務を課すことによって過失の認定で考慮すれば十分でしょう。
本問の場合、損害賠償を請求するためには失火責任法が適用されますので、熔接工に故意または重大な過失があることが要件になりますが、熔接という火花が飛び散り火災になる危険性が非常に高い危険物を取り扱っている人には、ふつうの人以上の高い注意義務が要請されます。したがってふつうの人の火災の際の重過失の認定と異なって、たやすく重過失が認められるでしょう。例えば、熔接工が周囲間近のところに木造家屋があって火花が飛び込む危険性があるのに漫然見通し、熔接工事を継続し、火災を発生させた場合など重大な過失に該当すると思います。
溶接工およびその使用者に(建設会社の下請会社に使用者責任により)請求できるのは当然です。臨時工でもその時点では雇傭関係にあるので問題はありません。
建設会社が下請の臨時の熔接工に対し、直接または間接的な指揮監督の状況があれば元請である建設会社は賠償の責に任じます。現場に建設会社の現場監督などいるのがふつうですから、元請が責任を免れる場合は少ないのです。単なる元請と下請、さらにその使用人がいて、その使用人が元請の仕事をしているだけで指揮監督の事実がないときは責任を負わすのは無理のようです。重大な過失は溶接工にあれば十分で、建設会社と下請会社の指揮監督上の重過失は要求されません。
請求する場合、責任のあるすべての者(建設会社、下請会社、溶接工)を相手とってもよく、その中で資力のおりそうな者だけ選択してもかまいません。責任のあるすべての者を相手にしないと、全損害の賠償を受けられないということはありません。

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