商業地域における日照妨害

私は商業地域でアパートを経営していますが、隣地に八階建てのビルが建ってから一日中日があたらなくなってしまいました。そのため入居していた人がどんどん他のアパートヘ引越してしまい、地価も下がってしまいました。ビルの所有者になんらかの請求はできないものでしょうか。
昭和四五年に改正された建築基準法は、世論の動向にあわせて日照保護の規定をもうけました。北側の境界線から一定の斜線によって建築が制限されるという北側斜線の制度です。ただし、これが適用されるのは、第一種住居専用地域と第二種住居専用地域です。商業地域においてはこの制限はないし、およそ高さの制限がありません。こういうことを考えますと、商業地域では日照の保護はしない趣旨だといってよいでしょう。しかし、現に、この商業地域には住宅もあり、アパートもあるのです。絶対に日照を保護しないとすることは酷に過ぎる場合もあると思います。例えば、妨害している建物が二m左にずらして建てれば、午前中だけは日照をうけられる場合に、二mずらしてもなんの不利益もないのに、妨害される者の問い合わせや懇願に一顧だに与えなかったという場合には、違法性を認めてもよいでしょう。それを支えているのは、生活の基調は信義誠実の原則の上に立たなければならないというところにあるのです。

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判例も原則として商業地域では日照の保護をはかっていないといってよいと思います。例えば、東京、新宿区花園町で、電電公社が六階建てビルを建てたために、西側に隣接している建物の日照がひどく妨害されたという事件で、裁判所は、ここが商業地域であることを重視して、損害賠償の請求を認めませんでした。
例外的に認めたものもあります。福岡市内の住宅地域よりは商業地域ともいうべきところでおきた事件で、A銀行が五階建てのビルを建てたため、Bの建物には一年中ほとんど日光がさしこまなくなったというのに対し五〇万円の精神的苦痛に対する損害賠償(慰謝料)を認めました。裁判所は次の点を強調しました。BがA銀行に土地を買いとってくれと再三にわたっ交渉したところ、A銀行が二階もしくは三階のビルだから安心されたいといって、買いとりを拒否してきたことが、著しく信義にかけるとしたのです。そのほか、純粋な商業地域でなかったということをも多少考慮したのかもしれません。
本問の場合は商業地域ですから、一日中日があたらなくても原則として損害賠償の請求はできないでしょう。しかし、この地域にかなり住宅があるような商業地域で隣地の建設者の態度が著しく不誠実だという場合には、損害賠償の請求ができる揚合もあるでしょう。例えば、あなたが八階建てのビルを建てようとする建築者に、右に二mほどずらしてくれないかというのに、しかも二m右によせてもなんの不利益も生じないのに一顧だに与えなかったとか、福岡の事件のように、三階建てだから大丈夫だといいながら建設してしまったというような場合には、例外的に損害賠償の請求が認められるでしょう。
この場合の損害賠償は、主として精神的損害で、物質的損害はなかなか認めてくれないようです。アパートなどで、住人がみんな引越してだれも住まなくなったというような場合には、日照の妨害とそれとの因果関係がはっきり証明されればその損害を認めないものでもないでしょう。しかし、地価の値下りは算定できないでしょうから認めないのがふつうです。

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隣りが境界ギリギリに家を建てている/ 境界ギリギリに家を建てられる場合/ ビル工事と工事前の事故予防対策/ 建築工事のため隣地に立入ることができる/ 地下掘削工事により家が傾いたとき/ 建築物用地下水の汲み上げにより家が壊れたとき/ 工事の繰り返しで地盤沈下し家が壊れた/ 工事人の過失で家が壊れた/ 通行中に工事の落下物でケガをしたとき/ 他人の土地を通さなければ水道ガス管を引けないとき/ 隣りまできている水道ガス管から分けてもらうには/ 工場の地下水の汲上げで井戸が涸れた/ 道路工事で私道の水道ガス管が壊されたとき/ 地下鉄工事で水道管が破裂したとき/ 個人専用の電柱から電気をひくには/ 高圧線が通っている土地を買ってしまったら/ 隣りが盛土したために雨水が流れ込み水たまりになった/ 雨水が隣りから直接注ぎ込む場合/ 他人の土地を通さなければ下水を流せないとき/ 隣地を通っている排水管の修理/ 共同の排水溝の管理費用の分担/ 住宅地の下水が田に流れこんでくる/ 浄化槽が台所の近くに造られたとき/ 共同の浄化槽の管理費用の分担/ 便所の汲取のための隣地の使用/ 違反建築でない建物による日照妨害/ 日照妨害により生計のための鳥が死亡/ 建築協定付の土地を買うと/ 崖崩れで近所の家を壊したとき/ 隣りの失火により家が焼けたとき/ 借家人の失火により家を焼いたとき/ 工事現場の溶接の火花で家が焼けたとき/ 住宅密集地でプロパンガスが爆発したとき/ 危険物運搬車の事故で家が焼けたとき/ 隣りが火事のときに投げ込まれた荷物/ アパートの隣室の音がうるさいとき/ アパートの隣人の失火で家財道具が焼けたとき/ アパートの階上の人の過失で水漏れしたとき/ 分譲マンションの管理費が不当に高いとき/ 分譲マンションの管理会社の変更/ 分譲マンションの屋上は共有/ ペット禁止の特約のあるアパート/ 団地の水洗トイレの管理/ 団地の火事の消火の水で水浸しになったとき/ 分譲マンションの専用部分の修繕/ 近所の商店で共同ビルをつくるには/ 再開発組合の決定に反対できるか/ 共同ビルの立て替えは反対者が一人でもいればできない/ 商業地域における日照妨害/ ビル工事の騒音振動による売上減少/ 隣りの工場の騒音振動で営業ができないとき/ 附近一体の地盤沈下で営業できないとき/ 電光版がビルに遮られて売上損害をうけたら/ 眺望を遮られて商売上の損害を受けたら/

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