隣りの工場の騒音振動で営業ができないとき

私は理髪業をしていますが、隣りに製管工場ができてから、騒音、振動でカミソリが使えなくなってしまいました。ノイローゼかもしれませんが、音がするとどうにも気になってだめです。引越しするしかないでしょうか。
日本の都市の商業地域には、店舗あり、住宅あり、工場ありでいろいろな人が住んでいます。しかし、ともかく商店を主体として発展すべき地域なのです。そういう地域では、条例によって、住居地域より騒音の基準となる音量が犬きいのがふつうです。商業地域では昼間で六五ホン、住居地域で六〇ホンと定めているところが多いようです。ですから住居地域で受忍限度をこえている場合(がまんできない程度)でも、商業地域では受忍限度をこえないという湯合もでてきます。しかし、商業地域でも受忍限度をこえれば不法行為、故意または過失により違法に他人の権利を侵害する行為となります。

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商業地域での騒音、振動が違法な行為として損害賠償を請求することができるというためには、次の要件をみたしていることが必要でしょう。(1)騒音、振動の程度が、通常人の受忍の限度をこえていること。ここで、通常人というのは、原則として、被害者の特殊性を考慮しないということです。例えば、被害者が病人であるとか、とくに静かなことを要求される職業にあるとかなどを考慮しなくてもよいということです。もっとも、ほんの少し注意をすればある程度騒音、振動を防げたということであれば考慮してもよいでしょう。受忍の限度をこえているかどうかの目安は、一応基準音量においてよいでしょう。ただ、判例のあるものは、この測定を被害建物の中でしていますから、基準音量(隣地との境界線上にとっている、それにしたがった判例もあります)よりは実際は大きくても受忍限度内ということもおこるでしょう。(2)損害賠償を請求するためには加害者に過失のあることが必要です。基準音量をこえている場合には過失があると推定してよいでしょうし、防音装置をしてくれと請求したのに前と同じ状態で騒音、振動をだしている揚合には、過失があるといってよいでしょう。
名古屋市内の商業地域(基準音量六五ホン)で、板金工場の操業で鉄材の折り曲げ、裁断機械、ハンマー・シャリング使用による騒音、振動が午前八時から夜間に及び、その騒音で隣地の著述家がノイローゼになったという事件で、一ヵ月あたり二〇〇〇円の精神的苦痛に対する損害賠償(慰謝料)の請求を認めました(この第一審判決は防音装置の設置も認めています)。
名古屋の商業地域(基準音量六五ホン)で、麻ロープ結束のための製造機械の運転のために隣家の一日おきに昼夜勤務の巡査が安眠を妨げられ、病妻幼児の安息が妨げられたとして損害賠償、防音壁の設置を要求した事件で、防音壁の要求は、後で改善措置を講じたとして認めませんでしたが、慰謝料として約一〇万円を認めました。
本問ではノイローゼ気味になるほどでカミソリも使えないとのことですから、おそらく受忍限度をこえていると思います。防音装置を要求してもきかないなら過失、故意があるでしょうから防音装置を施してくれと請求することができますし、慰謝料の請求もできます。いままでの例からみれば一〇〜二〇万円くらいでしょうか。理髪店の客がヘるという損害も考えられますが、判例はだいたいこういう損害を認めず慰謝料に還元させているようです。

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