附近一体の地盤沈下で営業できないとき

私は商業地域で印刷業を営んでいますが、この附近は地下鉄工事やビル建設があいつぎ、地盤沈下を起こし、写植の機械がくるってしまいました。だれにどのような損害の賠償を請求できるのでしょうか。
附近一帯の地盤沈下には二つの場合があります。一つは、たとえば東京の江東地区のようにおそらく地下水の汲上げが大きな原因と思われる広範囲の地盤沈下で、加害者がだれであるかわからない場合です。他は、すぐ近所でビルの建築を始めたために、その周囲一帯に地盤沈下がおきたと いう場合で、加害者がわかっている場合です。前者の場合は公害そのものの問題ですから、ここでは後者の問題として扱います。ところで、地盤沈下は、地下水の汲上げ、工事のミスなどによって生ずると考えられ、地下水の汲上げについては、「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」で規制を受けております。

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地盤沈下が生じ、本問のように現に損害が発生している場合に、不法行為(故意または過失により違法に他人に損害を与える行為)として損害賠償を請求するには、加害者側に違法性があることが必要でしょう。前述の法律に違反しているとか、工事上のミスがあったとか、ミスとまではゆかないまでも、細心の注意を払えば被害を最少限度に食い止めることができるはずであったとかいう場合には、違法性があるといってよいでしょう。通常なら、こうした 違法性は被害者の方で証明しなければならないのですが、こういう場合には、地盤沈下が生じたことに違法性があると推定され、違法性のないことを加害者側で証明すべきでしょう。
このような事態が生じた場合に、損害の賠償を請求するについては、一応工事を請け負っている建設会社、その下請人あるいは注文者の建築主などが考えられますが、三者全員に連帯して、あるいは建設会社だけにしか賠償請求をすることはできないこともあります。
そこで請求できる損害とその額ですが、これは違法性のある建設工事によって通常生ずべき損害(相当因果関係に立つ損害といいます)ということになります。その具休的算定基準は次のとおりです。
(1) 所有物の滅失 これは通常は滅失時の交換価格ということになります。取得価格ではない、つまり買入れ後ある程度期間が経過しているものについては、減価償却が必要という点に注意すべきです。
(2) 所有物の毀損 これはその修理費、修理不能のときには交換価格の減少部分がその損害ということになります。たとえば家屋が傾いた、機械がくるったとかいった場合には、その修理費が、損害額ということになります。もっとも毀損の度合がひどい場合には減失に準ずることになります。また営業用の物が毀損され、修理期間中使用不能なために、得べかりし収益を失ったときには、その賠償を請求できます。本問の場合にも機械がくるって印刷をすることができなかったときは、その期間内の営業利益(純利益)についても損害の賠償を請求することができるのです。
このような損害の賠償は、金銭をもってするのを原則とします。もっとも、家屋の毀損などについては、相手が建設会社ですから、金銭で解決せず、建設会社が自分の手で直すということで解決する例も少なくありません。また理論的には、精神的苦痛に対する損害賠償(慰謝料)の請求も可能なのですが、ふつう財産的損害の賠償によって慰謝されると考えられますので、特別な事情のないかぎり慰謝料は認められないでしょう。

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隣りが境界ギリギリに家を建てている/ 境界ギリギリに家を建てられる場合/ ビル工事と工事前の事故予防対策/ 建築工事のため隣地に立入ることができる/ 地下掘削工事により家が傾いたとき/ 建築物用地下水の汲み上げにより家が壊れたとき/ 工事の繰り返しで地盤沈下し家が壊れた/ 工事人の過失で家が壊れた/ 通行中に工事の落下物でケガをしたとき/ 他人の土地を通さなければ水道ガス管を引けないとき/ 隣りまできている水道ガス管から分けてもらうには/ 工場の地下水の汲上げで井戸が涸れた/ 道路工事で私道の水道ガス管が壊されたとき/ 地下鉄工事で水道管が破裂したとき/ 個人専用の電柱から電気をひくには/ 高圧線が通っている土地を買ってしまったら/ 隣りが盛土したために雨水が流れ込み水たまりになった/ 雨水が隣りから直接注ぎ込む場合/ 他人の土地を通さなければ下水を流せないとき/ 隣地を通っている排水管の修理/ 共同の排水溝の管理費用の分担/ 住宅地の下水が田に流れこんでくる/ 浄化槽が台所の近くに造られたとき/ 共同の浄化槽の管理費用の分担/ 便所の汲取のための隣地の使用/ 違反建築でない建物による日照妨害/ 日照妨害により生計のための鳥が死亡/ 建築協定付の土地を買うと/ 崖崩れで近所の家を壊したとき/ 隣りの失火により家が焼けたとき/ 借家人の失火により家を焼いたとき/ 工事現場の溶接の火花で家が焼けたとき/ 住宅密集地でプロパンガスが爆発したとき/ 危険物運搬車の事故で家が焼けたとき/ 隣りが火事のときに投げ込まれた荷物/ アパートの隣室の音がうるさいとき/ アパートの隣人の失火で家財道具が焼けたとき/ アパートの階上の人の過失で水漏れしたとき/ 分譲マンションの管理費が不当に高いとき/ 分譲マンションの管理会社の変更/ 分譲マンションの屋上は共有/ ペット禁止の特約のあるアパート/ 団地の水洗トイレの管理/ 団地の火事の消火の水で水浸しになったとき/ 分譲マンションの専用部分の修繕/ 近所の商店で共同ビルをつくるには/ 再開発組合の決定に反対できるか/ 共同ビルの立て替えは反対者が一人でもいればできない/ 商業地域における日照妨害/ ビル工事の騒音振動による売上減少/ 隣りの工場の騒音振動で営業ができないとき/ 附近一体の地盤沈下で営業できないとき/ 電光版がビルに遮られて売上損害をうけたら/ 眺望を遮られて商売上の損害を受けたら/

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