眺望を遮られて商売上の損害を受けたら

私は眺望を売りものの温泉旅館を経営していますが、今度、私の前の方の旅館が六階建てのビルにするということです。六階になれば、私のところは眺めのよい部屋がなくなり、商売がなりたちません。工事をやめさせることができるでしょうか。
結論から先にいいますと、工事をやめさせることができる場合もあるといってよいでしょう。
いったい、眺望権などとよばれるものがあるでしょうか。それはあると考えていいでしょう。それは積極的な内容をもたないにしても、その不当な侵害に対して救済を求められるという意味での権利です。ただ、この眺望権(あるいは眺望の利益)はどの建物にも、どのような場合にも保護されるというわけにはゆきません。例えば、ある住宅から山がよく見えるという場合に、その前に二階建ての建物が建てられたために山が見えなくなったとしても、その建物をこわせとか、損害賠償を払えということはできないでしょう。もし、これを認めるならば、先に建てた者がいつも有利な地位をしめ、その附近の土地所有権は有名無実になってしまいます。
それならどういう場合に眺望権が発生するでしょうか。第一に、本問の場合のように、眺望によって物質的な利益をあげていて、それを奪われると生活の上で大損害を受け、生活の基盤を失われるような場合であり、第二に、妨害の方法が非難されるようなものであるということが必要だと思います。相手に打撃を与えようと する害意があるということなどはその代表的な例でしょう。また妨害した建物の敷地が広く、妨害にならないような位置に建物を建てても格別不利益でないとか、多少設計を変えれば妨害が生ぜず、また変えることによって格別の不利益が生じないのに、なんとかしてくれとの交渉に一顧だに与えなかったということであれば、誠意がみられず、違法性があるといってよいでしょう。こういう場合に救済が与えられてしかるべきです。

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間取り

判例にもこれに非常によく似たケースがあります。これは群馬県の猿ケ京温泉におきた事件です。ここはその前にある赤谷湖の眺望がうりものの温泉です。旅館AとBとはかねがね紛争をよくおこした隣り同士ですが、BはAの客室の前に二階建ての客室の増築を始めたのです。これが完成するとAの客室からの眺望はまったく妨げられ、旅館としてのねうちがさがることが明らかです。しかも、Bには、従来の紛争からみて、Aを困らせてやろうという害意があったと認められた事件でした。AはBに対して、建築禁止の仮処分を申し立てこれが認められて、本案訴訟となってもAの主張が認められました。この判決は、前述の害意を認めるとともに、他の位置に建てられないわけではないことを強調して、このような行為を権利の濫用だといっています。
本問の場合も、前述の要件が備わっていれば工事をやめさせることができましょう。この場合には、建築禁止の仮処分を申し立てるという方法がよいでしょう。本問のいい分を理由があると認めればすぐ決定してくれます。しかし、相当工事が進んで、これをこわすことが容易でなく、かなりの費用がかかるということになれば、除去の請求や建築禁止は認められないように思います。そうなるまで放っておいたということも認められない根拠になるでしょう。こういう場合は、損害賠償の請求ができるだけでしょう。

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隣りが境界ギリギリに家を建てている/ 境界ギリギリに家を建てられる場合/ ビル工事と工事前の事故予防対策/ 建築工事のため隣地に立入ることができる/ 地下掘削工事により家が傾いたとき/ 建築物用地下水の汲み上げにより家が壊れたとき/ 工事の繰り返しで地盤沈下し家が壊れた/ 工事人の過失で家が壊れた/ 通行中に工事の落下物でケガをしたとき/ 他人の土地を通さなければ水道ガス管を引けないとき/ 隣りまできている水道ガス管から分けてもらうには/ 工場の地下水の汲上げで井戸が涸れた/ 道路工事で私道の水道ガス管が壊されたとき/ 地下鉄工事で水道管が破裂したとき/ 個人専用の電柱から電気をひくには/ 高圧線が通っている土地を買ってしまったら/ 隣りが盛土したために雨水が流れ込み水たまりになった/ 雨水が隣りから直接注ぎ込む場合/ 他人の土地を通さなければ下水を流せないとき/ 隣地を通っている排水管の修理/ 共同の排水溝の管理費用の分担/ 住宅地の下水が田に流れこんでくる/ 浄化槽が台所の近くに造られたとき/ 共同の浄化槽の管理費用の分担/ 便所の汲取のための隣地の使用/ 違反建築でない建物による日照妨害/ 日照妨害により生計のための鳥が死亡/ 建築協定付の土地を買うと/ 崖崩れで近所の家を壊したとき/ 隣りの失火により家が焼けたとき/ 借家人の失火により家を焼いたとき/ 工事現場の溶接の火花で家が焼けたとき/ 住宅密集地でプロパンガスが爆発したとき/ 危険物運搬車の事故で家が焼けたとき/ 隣りが火事のときに投げ込まれた荷物/ アパートの隣室の音がうるさいとき/ アパートの隣人の失火で家財道具が焼けたとき/ アパートの階上の人の過失で水漏れしたとき/ 分譲マンションの管理費が不当に高いとき/ 分譲マンションの管理会社の変更/ 分譲マンションの屋上は共有/ ペット禁止の特約のあるアパート/ 団地の水洗トイレの管理/ 団地の火事の消火の水で水浸しになったとき/ 分譲マンションの専用部分の修繕/ 近所の商店で共同ビルをつくるには/ 再開発組合の決定に反対できるか/ 共同ビルの立て替えは反対者が一人でもいればできない/ 商業地域における日照妨害/ ビル工事の騒音振動による売上減少/ 隣りの工場の騒音振動で営業ができないとき/ 附近一体の地盤沈下で営業できないとき/ 電光版がビルに遮られて売上損害をうけたら/ 眺望を遮られて商売上の損害を受けたら/

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