道路斜線制限と高さの制限

 道路際に建てられた建築物が、よく斜め上方にカットされたり、上階にいくにつれ、段だん畠のように後返している姿は、都会地(都市計画区域内)でよく見かけます。これが道路幅による斜線制限です。
 ほんらいのこの制限は、道路をはさんて相向かう建築物間相互の距離を確保し、その建物の居住空間を向上させるものです。

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 アメリカの高層ビルの建ち並ぶ道路を歩くと、上から建物で押しつぶされるような錯覚を受けます。とくに道路の狭い所では、昼なお暗き谷間状になり、人通りの少ない裏町ではうす気味悪い。思わず走り出したい気持にかられます。そして、道路から建物を見上げ、その先端に青空がのぞくとほっとするのです。日本では道路斜線制限があるので、アメリカのように、深いビルの谷間の道路は存在しません。道路幅を基準にして大空に向かって末広がり状に建物が存在するため、青空は、どこの場所でも大きく目いっぱいに眺められます。
 これは、両側の山が道路に道る谷間を車で走るときの感じに似ています。垂直に岩が立ちはだかる山際の道路は、何となく不気味ですが空に向かって傾斜した岩に接する谷間の道路は、安定感をいだかせます。
 これは、道路をはさむ斜線制限の視覚的拡大による情緒安定ともいえるでしょう。
 狭い国土にひしめく日本の都会の建物は、このように道路斜線制限を始め、隣地境界線よりの斜線制限,第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域に限っての北側斜線制限によって敷地内の斜め上方の空間を確保しています。ちょうど、一個の敷地ごとに、大空からいろいろな折れ線状の金網をかぶせ、その金網内に建築物が存在すると考えてもらえばよいでしょう。
 これらの金網の中で、先ほど述べた建ぺい率と容積率の制限を守りながら、建物を建てていかねばなりません。これは、かなり設計技術のいる高度な仕事です。
 いろんな制約の下に、住宅を建てなければならないのですね、いままでは、自分の敷地だから民法の規定を守れば、簡単に建築できるものと感違いしていました。しかし、個人の建物の空間の状態を規制するのは、個人の権利を侵すことにはならないのでしょうか。という声が聞こえそうです。
 これに対しては,学者間の統一見解として、公共の福祉の増進のためには、個人の権利の制限も止むをえない。となっています。
 ところで、道路の向こう側に川や公園が隣接している場合には道路斜線制限は建物に対して有利に展開します。川幅や公園幅を道路幅なみに取り扱ってくれる特例があるからです。
 建築面積の合計が、全休の建築面積の1/8以下で、その高さが12m以下の部分は、建築物の高さの算入から除くと いうことを,ここで思い出しましょう。
 というのは、屋上に設けた塔屋、階段室、昇降機塔、機械室、水槽、冷却塔など(いずれも居室ではない、物置や納戸はこれらの中には入らない)は、道路斜線や隣地斜線をこえて、高さ12mまでなら建てられるということです。
 そうかといって、北側斜線も同じかというと、そうではありません。これは北側に隣接する建物に日照をえやすくするようにした制限ゆえ、この斜線制限をこえては、いかなる建築物の部分も建てることはできません。
 住居系の用途地域の制限は厳しく(傾斜がゆるやか)、商業・工業県の制限はゆるやか(傾斜がきつい)になっています。
 さらに、第一種低層住居専用地域内に限り、高さ10mの水平高さ制限があります。建築物の高さでいくと3階建までの建築が可能な範囲です。
 この地域で10mをこえて建築できるものは、階段室・昇降機塔の屋上部分のうち、それらの水平投影面積の合計が、その建築物の建築面積の1/8以内のもので、高さ5mまでのものに限られています。用途地域の目的からいって低層住宅を建てる所ゆえ、この制限は当然のことです。むしろ高さの制限をもっと厳しくしてもいいくらいです。

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