居室と延焼のおそれのある部分

 厳密にいうと、居室は、居住・執務・作業・集会・娯楽などの目的のために、継続的に使用する室をいいます。継続的に使用するとは、特定の者だけが使用するだけでなく、不特定の人が入れかわって継続的に使用してもよい。
 国語的知識で解釈すると、いしつと読んで居間と等しいとなります。法的解釈でいくと、居間はたくさんある居室の中の一つの室の名前にすぎません。わざわざ居室とことわったのは、居室には、日照、採光、換気の制限をはじめ、天井高さ、床高さ、床の防湿方法、内装の制限の規定を適用し、人間が安心して住める安全な構造としなければならないからです。だから住宅の居室は、地階に設けることができないし、屋根裏の天井の低いうす暗い部屋を寝室や勉強部屋として使用することはできません。いまの所、地階は車庫・物置・機械室など、天井裏は物置、納戸、書庫などに利用するしか仕方がないでしょう。

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 住宅のなかで居室とみなされないものを示すと玄関、廊下、広縁、階段室、便所、脱衣、洗面所、浴室、洗濯室、納戸、床の間、押入、物置、機械室、土蔵、書庫、車庫、ふみこみ土間などです。
 以上の室には、太陽が当たらなくてもいいし、採光のない暗い室とできるし(人工照明にする)換気も考えなくてよい、また天井高さは2.1m未満でもいいし、避返上の規定も守らなくてよい。
 確認申請用の平面図をみると、各居室にR(床面積)=○○m2、L(有効採光面積)=○○m2、V(有効換気面積)=○○m2と記入していますが、床の間、押入や納戸のついた室は、それらの部分を除いた床面積(有効床面積とてもいっておこう)を記入します。和室などで、床の間・押入を含んだ面積を記入している例をみますが、それだけ床面積がふえて、算数的な面だけて判断すると、採光・換気の計算は不利になります。
 延焼のおそれのある部分とは、建築物のある部分が道路中心線、隣地境界線、または同一敷地内の2棟以上(母屋と離れ屋の関係のように用途上不可分の関係にある建物でないと、同一敷地内に複数の建物は建てられない)の建物の外壁間距離の中心線より、1階にあっては3m以下、2階以上にあっては5m以下の距離にあるものをいいます。
 ただし、2棟以上の延面積の合計が500m2以内の建築物は1棟とみなし、2棟間の外壁間距離は考えない。
 この延焼のおそれのある部分は、平面図上で斜線を入れたり色ぬりをしたりして、他の部分と区別します。「この部分は燃えやすいですよ」という警鐘と思えばよい。
 すなわち、この部分は読んで字のごとく、隣りから火災が超きた場合に、自分の家の外壁を防火的にして火災から守るような仕上げにしなければならない範囲を示しています。
 市街地の防火地域・準防火地域外の法22条区域(屋根不燃区域ともいう)にある木造建築物の屋根は不燃材料で造り、木造共同住宅で延焼のおそれのある部分の外壁は、防火構造にしなければなりません。したがって、木造の羽目板ばりの壁休は認められません。屋根も瓦ぶき・石綿スレートぶき・鉄板ぶき等の不燃材料とします。最近はやりのアスファルトシングル(特殊屋根板)ぶきは、製品によって、あるいは屋根下地の種類によって、不燃材料と認められず、屋根付としては使用できない場合があります。
 さて、防火構造には,どんな種類のものがあるでしょうか。
 和風の土塗真壁造りや、洋風のモルタル塗大壁造りが、これに当たります。とにかく通常の火災に20分間耐えることができる程度の仕上げ材の防火性能が必要です。
 もしも、延焼のおそれのある範囲内に窓がある場合,窓ガラスは普通の厚さ(厚さ3mm)のものは使えず、網入りガラス(厚さ6.8mm)を使わねばなりません。もちろん木製の建具は禁止です。近年、アルミサッシをはじめ、アルミ製の雨戸や戸袋が普及したのは、このような法的規制にもとづきます。
 よく市街地に純和風の住宅を建てるとき、意匠上むかし風の破目板ばりや、木製の建具や開口部の障子を用いたくても、使用できないのも同じ理由によります。
 最近は、木造に代わる不燃性材料による新しい製品ができ上がっているものの、木造の材質の暖かみと柔かさまで出すことができず、和風住宅を得意とする設計者からみると、これは何ともやり切れない規制でしょう。逆にいえば「市街地では純和風住宅は建てられない」ということになります。
 京都や奈良の市街地の建物が、古びて建てかえるときには、昔の材質の建築材料が法規にひっかかって使えない、となると、いにしえの古都の美観や情緒は消しとんでしまう。何とかならないものでしょうか。しかし、救いの手はあります。
 道路に接した住宅は、道路中心線より延焼のおそれのある部分を測定するので、追跡側の景観の見える部分は既存の姿をそのまま修理できます。だから、道路幅が6mもあれば、道路境界線上に接して建てられた住宅(平家建の場合)は(厳密には道路中心線より3mをこえて外壁面を設ける)木部を露出した仕上げとできます。
 この仕上げは、上塗壁または同等以上の防火構造とし、準防火地域の防火構造よりもその程度は落ちてよい。軒裏は防火構造にしなくてもよいから、木部の露出でよいわけです。
 敷地に余裕があれば、準防火地域であっても隣地境界線より平家建てあれば3mをこえるか、2階建てあれば5mをこえるように建物配置をすれば、外壁をすべて木造仕上げとした住宅を建てることができます。
 以上のことより考えると、同じ構造・仕上げの住宅を建てるにしても都会地の住宅は、防火的な処置をしなければならないから、地方の住宅に比べて仕上材の単価が高くつく、都会地に住む便利さと危険さを考えれば、少しぐらいの出費は建物の保険料と思って、あきらめなくてはなりません。

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