室内の日照と採光

 住宅の居室の一室は、外壁の開ロ部に日照を受けるようにします。
 しかし、大都会のビルの谷間の住宅では無理な話しです。だから法第29条の「住宅の居室の日照」の所には「敷地の周囲の状況によってやむを得ない場合を除く」と冒頭に記しています。
 ことわりをわざわざ先に記さねばならないほど、都会では守りにくい規制です。

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 日照の目標は、冬至の正午をはさんだ4時間の日照確保にありますが、そんなことは法29条からは、みじんも読みとれないから、せっかくのいい法文も生きてきません。これを補うために日影規制が設けられ、住宅に太陽をという庶民の願いは、現実に生きてきました。誰しも南面に居間や子供室を計画するのは、それらの大切な居室に太陽が当ることを願っているからです。さらに突きつめれば、南面の庭の幅は、それに隣接する目前の建物高さの1.8倍から2倍の幅をもつ空間が必要ということです。
 このため、誰でもが敷地の北側に建物をよせつけ、南側になるべく空地を確保しようとしますさて、採光に話しを移します。
 採光は日照と異なり、天空光による自然採光をさしています。天空光とは、空中に浮かぶ雲・水蒸気・塵などと反射しながら太空から落ちてくる拡散光のことです。その光は、柔らかく、明るさは平均しているので、昔から画家のアトリエや紡績工場などに、北向きの天窓として用いられていました。だから、開口部の位置は日照のように南向きでなくてもよい。北側でもよいのです。
 しかしながら、居室には必ず開口部(窓)は必要なものでしょうか。
 人工照明の発達した今日において、なぜ自然の天空光を求めねばならないのでしょうか。
 なるほど建物によっては、必ずしも採光用の窓をとらなくてもいいものがあります。店舗、事務所、ホテル、映画館などがそうです。
 しかし、住宅、共同住宅(学校、病院、寄宿舎、児童福祉施設なども同じ)は、どうしても自然採光が必要です。
 窓は採光以外に室内からの眺望を得る。通風・換気口をかねる。非常時の脱出口となる。大きな物品の搬入口となるなど、人が身心をくつろがせる室としてのもろもろの要素をもっています。
 窓のない部屋で生活すると、人間の性質が陰気になります。気が変になる。判断力がにぶる、という研究を発表した心理学者がいます。なるほど,刑務所(独房が居室であるかどうかは別にして)の窓は、できるだけ小さくし、上部の壁にポツンとあいているだけです。受刑者に苦痛をしい、一刻も早く外に出たいという欲求をかき起こす手段として、そうしているのです。
 ところで、採光上有効な窓は住宅・共同住宅の場合、居室床面積の1/7以上の大きさが必要です。
 「窓はできるだけ壁面の上部で横長に設けるのがよい」ことが分かります。
 また、日本家屋の特長を生かそうとして、むやみに軒先を出すと、それだけ採光上不利となります。「光は高い窓からさしてくる」この考えを忘れずに住宅を計画してほしい。実状は、採光規定でひっかかって、居室の窓を大きく計画しなおす例がたいへんに多い、建売住宅のなかで、とくにこの違反が目につきます。
 したがって、採光の制限よりみて、このような北側部分で建物の真中に位置する部分には居室を設けず、納戸・便所・浴室・洗面所などを設けるのが賢明です。
 ほんらい、採光というものは、他の建築物との相対的な位置と高さ、方位、窓の形状、室の奥行などによって決まるのに、隣地に家が建っているかどうかに関係なく、隣地境界線までの距離だけに頼って、機械的に決めるとは無茶な話しですという疑問をおもちの方が多かろうと思います。
 それに対しては、隣地が空地で安心していたところ、あとから建物が建って採光が入らなくなったと、うろたえるよりも、始めから隣地境界線上に無限に高い建築物が建っていると考えたらどうでしょうか。
 採光は他人に頼らず、自分の敷地内で解決しろ、という受け取り方をして、いろんな矛盾点を流してしまうのもひとつのあきらめ方です。あるいは採光の制限は、敷地いっぱいに住宅を建てさせないようにしている一種の牽制球とでもいえよう。と答えておきましょう。
 外壁面に面しない室の場合は、2室を1室とみなす手段もあるし、それでも採光が入らない場合は最後の手段として、天窓をとる。天窓は垂直窓の3倍の採光率があるから、逆に窓面積は普通の垂直窓の1/3の大きさをあければよい。必ずしも透明のガラス板でおおわなくても乳白色のアクリル系の塩ビ板を使えばよい。
 京都などの長屋住宅の真中の部屋に見られる天窓の利用は、法規を先取りした古人の英智です。
 なお、確認申請に添付する平面図上では、各居室の床面積、採光上の窓面積を各部屋ごとに計算して示すようになっています。

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