室内の換気

 かつての日本家屋は,換気のことを考えなくてもよかった。紙と木と土でできた家は、無数のすき間から室内外の換気が自然に行なわれていたからです。
 ところが、窓にアルミサッシが普及し、壁・天井・床に断熱材を入れるに及んで、住宅の室内の気密化は、一気に進行しました。同時に各種機器による暖冷房設備が完備したから、人間はなまけ者になり、窓を開閉することを忘れてしまいました。もちろん、外部のもろもろの公害を避けるために、窓を開かなくなったこともあのでしょうが、それだけ室内の換気が悪くなり、煙草の煙や人体から発する炭酸ガスや水蒸気、外からもちこんだ衣服のほこりで、部屋の空気は汚れる一方です。ましてや、台所兼食堂などの火を使う部屋の危険度は、さらに大きくなりました。

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 台所のガス湯沸器からホースで浴室に湯を入れていたところ、一酸化炭素中毒にかかり、家族が死亡。という痛ましい事件が新聞紙上をたびたび賑わしたことがありました。
 人間の体は、複雑にできているわりには、コロッと亡くなります。その例が酸素欠乏による死亡事故です。
 人間は、60°C〜70°Cの煙を吸うと即死する、ともいわれます。それは酸欠空気の呼吸(一酸化炭素中毒)によっ、一番精密にできている脳神経がおかされ、手足に命令を下す中枢神経が故障して失神してしまうからです。火事で焼死するより以前に煙死(窒息死・有毒ガスによる中毒死)します。
 なぜ、窓をあけて空気を入れかえたり、窓から脱出できなかったのかと疑われる方もおられると思います。窓をあけなければ、逃げなければ、と思っているうちに、頭がもうろうとして判断力を失ない、手足が動かなくなるのです。
 換気に必要な窓面積は、その居室床面積の1/20以上あればよい。
 換気上有効な窓面積は,実際に開放できる面積で、2枚の引き違い窓であればその窓面積の1/2であり、3枚の引き違い窓であれば窓面積の2/3をとる。ふすま・ガラス戸などで仕切られた2室は、採光の規定と同じように、1室とみなして換気の規定を適用します。採光の規定に合格している部屋ならば、換気の規定には合格しているはずである。というのは、いずれも室の床面積を基準にして窓の面積を決めているものの、その制限値は、換気の方がはるかに窓面積が小さくて済むようになっているからです。また、完全なはめ殺し窓というのは、住宅の居室の場合ありえないからです。換気・掃除の事を考えると、住宅のはめ殺し窓は不適当であると思います。
 もしも、換気に有効な窓面積が1/20に満たない場合は、自然換気設備を設けなければなりません。
 なお、自然換気設備を設けにくい所は、機械換気設備としてもよいのですが、住宅では設計さえうまくやれば、自然換気設備だけで、充分その役目を果たすことができます。
 加えて減速経済の社会で資源節約が叫ばれている世の中です。自然に帰り、自然にさからわずに生活するのが、いちばん快適な生活であり、かつ健康な体を作り、ねばりのある人間を育てます。
 考えても見給え、わたしたちの子供の時代は、うちわだけの夏生活だったし、冬は紙障子一枚に囲まれた室内に火鉢一個を置いただけの暖房でした。
 何かに耐える習慣は、子供のときから訓練しておかなければなりません。現代の子供は、住環境からして過保護であり、それが肉体的にも精神的にももろい体質を作っているように思います。
 こういう意味で、わたしは沖縄、北海道・東北・日本海側の酷暑・酷寒地帯を除き、住宅の機械換気設備は不要と考えています。
 しかしながら、火気を使用する室(台所・浴室等)の換気設備は重要です。この部分だけは自然換気と同時に機械換気を併用したいものです。
 火が燃えるということは、室内の酸素を大量に消費し、廃ガスを室内に放出することです。室内をしめ切っておれば酸欠状態に陥り、人体に危険を及ぼすのは当然です。
 そこで給気ロは室内天井高さの1/2に設けます。すなわち、壁体の下部に換気グリルを設けてもよいし、勝手口の扉に目すかし付の板をはめこんだサッシを使用します。排気口は、天井または天井から下方80cm以内の位置に設けます。しかし、煙突や換気扇,排気筒を設ける場合は適当な位置でよい。とにかく火気使用室は、壁の下から空気が入り、壁の上から出ていくようにしておく、室内の空気を自然に対流させるのです。
 例外として次のものは、以上の規定を適用しなくてもよい。
 直接屋外から空気をとり入れ、廃ガスを直接屋外に出し、室内の空気を汚染するおそれのないもの(バランス釜など)を設けた室
 延面積が100m2以内の小住宅の調理室で、窓の有効開口部面積が調理室の床面積の1/10以上で、かつ0.8m2以上あるもの
 さて「居室の換気は、居室の床面積の1/20以上の有効開口部面積の窓を設けなければならない」ことは前に記しました。
 これは、隣保館の居室などの有効採光面積の大きさが、その居室面積の1/10以上である所より、引き違い窓とすればその半分だけが開放されるとして1/20と決めたのです。
 とにかく、寝室や居間などの窓は,上記の規定を守ったとしても実際に窓を開放しなくては馬の耳に念仏です。
 成人が室内で健康的衛生的な生活をするためには、1人当り1時間に30m3(6帖の部屋につまった空気量)の新鮮な空気が必要である。ということは、室内の空気は1時間に1〜2回入れかえなければなりません。
 だから、寒くても1時間に最低1回は窓をあけ放そう。ずぼらな人は、各部屋に欄間窓を設け、サッシ窓の先端を少しあけておくか、サッシ窓に換気用の小窓をとりつけ(公団の共同住宅にはこれが採用されている)目すかし的に開放しておくようにしたい。

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