階段の制限

 階段は、上下階を結ぶ傾斜した廊下です。
 廊下である以上、戸外でいえば道路に相当するものゆえ、家族のなかでも最も階段の登り降りを苦にする人(老人・幼児など)を対象にして、ふみ幅・けあげを決めなければなりません。
 その傾斜の度合が急であると、非常時の避難のときには危険がともないます。

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 法規は、第一条の目的に記してあるように最低の基準とはいえ、こと階段に関しては実用値とはほど遠い低い値になっています。もう少し、人間工学的に考えられた数値をとるべきだった思います。
 設計者も階段にはワリと冷淡で、単なる上下階の連絡絡と考え、できるだけ階段のスペースを節約しようとします。
 2階以上にプライベートな室を多くもつようになった今日、傾斜した廊下である階段を、安全で明るい住宅のワンポイントとして大いに活用したいものです。
 たて・よこの線を主体にした室内の意匠のなかにあって、階段の斜めの線は、静を動に変化させる躍動美をもっています。
 ところで、階段室の設計は、階高をけあげ寸法で割って段数を出し、さらに段数を調整した上で、けあげ寸法を決めます。
 けあげ寸法は、整数値で割り切れないから細かい数値になるはずです。階段の長さは、(段数-1)×踏づら寸法、で決まってきます。
 通常、住宅の場合は2R十T=60cm(R:けあげ寸法、T:踏づら寸法)より決めるのがよいでしょう。
 人間の平地を歩く歩幅を60cmとすると、階段を登るのは平地を歩く2倍のエネルギーが必要で、歩幅を60cmに押さえると、このような式が出てきます。この理屈からいくと、はしごの段板の最大間隔はT=0ゆえ、R=30cmとなることが分かります。
 ところが、階段は登るよりも降りるのに神経を使います。はしごは登るときは簡単に登れますが、降りるときはかなり苦労します。階段もはしごと同じように、降りるときは登るのに比べると、目からの距離が遠のくし「踏板につま先をつけてから、かかとに体重を移動させる足の動作」のできる踏板の幅が必要です。
 そうでなくても最後はかかとに体重が集中し、降りる姿勢より重心が後に残りがちとなります。そこへ加速度が加わるから、仰向けにすべり落ちる危険がともないます。
 避難上から考えても、降りるのを主体にした設計としなければならないことが、お分かりでしょう。
 こういう意味で、階段室の長さを節約することは、極めてあぶない、むかし風の間取りだと、約1間(6尺=1.8m)の長さで2階までの高さ9尺(=2.7m)を登り切るようになっていました。
 最近の住宅は、階高が2.8m〜3.0mぐらいであるから、階段の長さは2.7m〜2.9mがよい、角度でいうとほぼ45度です。
 三角定規の45度の角度を思い出してもらえばよいし、45度の三角定規を踏板に洽わせて測定すると、階段の傾斜はおよそ見当がつきます。
 法規には「階段の両側に側壁またはこれに代るものがない場合には、手すりを設けなければならない」とあるので、必ずしも手すりを設ける必要はありませんが、老人・子供のことを考えると、手すりは必要です。これによって壁の汚れも防げます。
 75cmの内のり幅は、大人1人が階段壁に背をひっつけると、他の1人が身をねじって辛うじて上下できる間隔でもあります。
 階段が、まっすぐに上がれない所は、折り曲げたり、あえて途中に踊り場を設けて折り返したりしますが、そのときの折り曲がり部の踏板の数は3段を標準とします。どうしても階段を長くとれない場合は、4段でも違法にならないようにしています。
 すなわち、4段の回転部の内側に手すりを設けたり(手すりの先端から測ると踏づら寸法の最低値15cmとすることができる)狭い方の直角部分でふみ板の中心を少しずつずらしたりしています。

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