建設工事請負における危険負担

建設取引において危険負担と言われているものは、請負者の責めに帰することができない事由によって請負者が工事の施工、完成、工事目的物の引渡しができなくなった場合、請負者は工事請負代金の支払いをうけることができるかどうかという間題であると同時に、施工中、天災等不可抗力によって工事目的物、仮設物、工事用材料、建設用機械器具などに損害が発生したり工事費や経費が増加したが、工事の施工、完成は可能であるといった場合に、この損害、増加経費などを注文者、請負者のいずれが負担すべきかという間題でもあります。

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注文者の責めに帰すべき事由によった場合については、請負者は、なお工事代金請求権を失わないとされています。請負者は施工債務を免れたことによって得た利益分は注文者に返還しなければなりません。しかし得べかりし利益が請負者の手に入ることになりますが、注文者に故意、過失があり、請負者に損害が生じた場合には、請負者は、不法行為または債務不履行による損害賠償も請求できます。両当事者の責めに帰することがでぎない事由によった場合については、次のように言われています。
工事完成前においては、請負者は工事代金請求権を失い、前金払いや出来高払いをうけているときはこれを不当利得として返還することになります。工事の完成後、引渡し前においても、工事を完成し引き渡すことが請負者の債務なので、原則として、請負者は工事代金請求権を失うとされています。しかし建物新築工事の請負は通常建物の所有権の移転を目的とするものであるために、請負者は工事代金請求権を失わないとするものもあります。工事代金請求権を失うとするのが通説でもあり判例のあるところでもあるようです。ただし注文者が工事材料の全部または主要部分を提供し、あるいは工事代金の全部または大部分を支払ったなどの場合は、完成建物の所有権は注文者に帰属しているのであるために、引渡しがなくとも注文者が危除を負担するとしています。この場合には危険負担の問題ではなくなるというべきです。
不可抗力による施工中の損失の負担については、原則として請負者の負担であり、その不合理を請負者の損害保検の付保義務を含んだ注文者負担の特約によって補正すべきであるとされており、そのような特約によって処理しているのが現状です。工事の危検負担が考えられるのはいかなる場合かというと、工事の目的が定期行為の場合で、注文者が工事用地や約定の支給材料を約定の期日までに提供できないなどの場合、修繕、改造、改築、解体工事などにおいて注文者の失火や隣家からの貰い火あるいは地震などで当該建造物が焼失、壊滅した場合、建物新築工事において特定の工事材料が製造、使用禁止などになった場合、法令の改正によって当該建物等が建造制限になった場合などです。工事請負において、完成物あるいは工事出来形の所有権が間題となりうるのは建物新築あるいはこれに類する物の新設工事に限られます。そして請負者が工事材料の全部または主要部分、大部分を提供したときは、当該建物あるいは工事出来形の所有権は、原始的に請負者に発生、帰属し、引渡時または完成時もしくは建物といえる段階にいたった時に注文者に移転するとされています。しかし、引渡時移転説は請負者の工事代金債権確保のための理論であり、完成時あるいは建物段階時移転説は既払工事代金との関連において発注者の保護を考慮しての理論です。また完成物の所有権が請負者にあるといっても敷地利用権との関係で間題があり、また、便用、取益、処分が認められないものであり、請負者の工事代金債権は不動産工事の先取特権、同時履行の抗弁権、留置権で確保されます。建設取引にあっては、下請契約にあってはもとより発注者と請負者との間の元請契約にあっても、当事者は、一般に他の工事の場合と建物新築工事の場合、官公庁建物の場合と民間建物の場合とを区別しておらず、工事目的物、工事出来形の所有権は常に発注者にあると考えています。また発注者のために施工するという工事請負の性質からいっても、施工に伴い漸次発注者所有の物ができてゆくというべきです。特定物売買についての本来の危検負担の通説的な理由づけにおいてもみられるように、所有者が危段を負担する、利益の帰する処に損害もまた帰する。というべきであるために、工事目的物に関して生じた損害は注文者の負担とすべきで、一般の建設工事の場合はもとより建物新築工事においても、本来の危険負担の場合と不可抗力損害の場合とを間わず、工事の出来形、完成物に対して注文者から請負者に対してその代金が支払わるべぎで、不可抗力損害の場合における現場搬入工事材料や増加経費などに関する損害については、当事者間に特約がない場合には、工事代金の決定、建設取引の現状を踏まえて、注文者負担の方向において合理的に処理すぺきことになります。

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建設工事請負契約/ 建設工事請負における危険負担/ 建設工事請負の瑕疵/ 瑕疵担保責任/ 瑕疵担保責任の在続期間/ 建物の売買契約と保証人責任/ 工事完成保証人/ 土地と建物の関係/

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