工事完成保証人

建設請負の保証制度としては工事完成保証人のほかに、金銭保証人、契約保証金、履行保証保険および、保証事業会社の保証がありますが、公共工事には工事完成保証人が用いられ、民間工事では主として金銭保証人が用いられています。請負人は注文者から工事完成保証人を立てることを求められると、注文者の定める基準の範囲内の建設業者の内から適当なものに工事完成保証人になってくれるよう依頼し、承諾を得たとき請負人と当該建設業者との間で保証委託契約が成立します。注文者の定める基準というのは大たい請負人と同等以上の建設業者を意味します。この場合委託の内容につき後日の紛争を避けるため保証委託契約書を作成しておくことが望ましい。

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工事請負契約書に注文者と請負人と工事完成保証人とが記名押印したときに、注文者と請負人の間で請負契約が成立すると同時に注文者と工事完成保証人の間で工事完成保証契約も成立します。この場合の工事完成保証人は連帯保証人です。なぜなら主たる債務者である請負人は建設業者でその請負契約は商行為であるために、それから生じた債務を保証するものは特に連帯保証と書かなくても連帯保証人となります。
工事完成保証人が注文者から工事の完成を請求されるのは、請負人が工期内又は工期経過後相当の期間内に工事を完成する見込みがないと明らかに認められるとき。正当な理由がないのに、工事に着手すべき時期を過ぎても工事に着手しないとき。契約に違反し、その違反により契約の目的を達することができないと認められるとき。になります。契約書によっては、他に委任または下請負の禁止、仕様書と不適合の場合の改造義務の規定に違反した場合を履行請求の理由としていますが、これは標準約款では前記三九条一項三号に含まれるとみられます。そして注文者から工事完成の請求を受けたときは、工事完成保証人は請負契約に基づく請負人の権利および義務を承継することになります。
請負契約に基づく請負人の権利および義務を承継するために、工事完成保証人は請負人と同じ立場に立ちます。つまり工事完成保証人は請負人と同じく図面、仕様書のとおり残工事を完成しなければならず、反対に残工事代金の請求権も承継するのですが、請負人に対しすでに過払いになっている工事を引き継いだときには何ももらえないことも起り得ます。残工事の工期については請負人の遅滞のため本来の工期内に完成不可能なときは、改めて注文者と工事完成保証人との間で妥当な期間を定めるべきです。請負人の債務不履行の場合の遅延利息、違約金その他の損害金の支払義務は工事完成保証人が承継しません。これは金銭保証人が別に保証することになっているからです。
瑕疵担保責任を工事完成保証人が承継するかどうかについては争いがあります。承継を認める説では瑕疵担保責任も請負人の請負契約上の義務であるからだとことになり、認めない説では、信義則上この権利義務の承継は工事完成に必要な限度だからとか、残工事の完成を保証するものに前施工者である請負人の工事の瑕疵まで責任を負わせるのは不合理であるということです。
工事完成保証人は請負人の下請負人や材料納入者とは一切無関係です。工事完成保証人が承継する権利および義務は請負人の注文者に対するものだけであって、請負人の下請負人や材料納入者に対するそれは含まれません。下請負人や材料納入者は請負人に請求できるだけであって、それから回収できなければそれで終りです。
工事完成保証人が請負人に代って残工事を完成し注文者から残代金を支払われたがすでに請負人に過払いになっていたり、当初の見積より余分の経費を要したため、正当な残代金より少ないときは、委託を受けた保証人として請負人に対し求償権を行使し不足額および遅延損害金を請求できることになります。しかし現実には倒産した請負人には支払能力はないためにすべて工事完成保証人の損失となります。したがって工事完成保証人が一度責任をとらされればその損害は大きく、予期しないときに生じるから打撃はよりこたえることになります。一般に建設業者と取引するものは、どこかで建設業者の倒産が生じたら、その業者といつも工事完成をしている業者を調査し、連鎖倒産を警戒しなければなりません。

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