建設工事請負契約

建設業法は、建設工事の請負契約の原則として、契約当事者は各々対等の立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行すべしとしています。そして契約当事者は、この趣旨に従って、契約の締結に際して一定の事項を書面に記載し、署名または記名押印して相互にこれを交付すべしとしています。このことは請負契約を要式行為とするものではなく、書面の作成は契約の効力発生要件ではないと解されています。そして業法を踏まえて、中央建設業審議会によって建設工事の標準請負契約約款が作成され、その実施が勧告されており、日本建築学会、日本建築協会、日本建築家協会、全国建設業協会によって民間の建物新築工事について実施約款が作成、頒布されています。こうした意味においては、発注者と請負者との間の元請契約、請負者と請負者との間の下請契約を通して、しだいにその書面化が普及し、かつ、その内容において偏務性が矯正されています。しかし零細業者や再下請以下の段階では書面化は徹底しておらず、また実施約款の内容およびその履行の実態においては現実にはいまだにその偏務性は払拭されてはいません。また表現としては対等とみえる約款でも協議条項が多数おかれており、その履行において偏務的な解決がなされています。特に地方自治体発注および民間大企業発注の工事においてその傾向が顕著です。

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契約の締結ひいてはその履行において、工事内容および各種条件が明らかであるべきことはいうまでもなく、業法では注文者は、請負契約の方法が随意契約の場合にあっては契約締結以前に、入札の場合にあっては入札以前に、これらの事項についてできるかぎり具体的な内容を提示しなければならないとしています。しかし特に官公庁工事において担当官等は契約の諸条件を明確にすることをあまり欲しないようであり、一般に業法による影響はまったくないといっていいと思われます。
前金払いが約定された場合には、注文者は保証事業会社の保証にかかわる工事または軽徴な工事を除いて、請負者に対して前金払いをする前に保証人を立てることを請求することができ、請負者が保証人を立てないときは、契約の定めにかかわらず前金払いをしないことができるとされていますが、実務上は、前金払、保証入は、発注者と元請負者との間では業法の規定と関係なく行われており、元請負者と下請負者との間では各種の事情であまり行われていないといえます。
出来高払いについては、業法には発注者のそれについての規定はないので専ら徒来の取引慣行によっています。元請業者と下請負者のそれについては業法に詳細規定されていますが、よい方向にせよ悪い方向にせよそのとおりにはほとんど行われていないといってもいいと思われます。
請負代金額を取り決めるにあたっては、注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して通常必要と認められる施工原価にみたない金額としてはならないとされています。注文者は、契約縮結後、自己の取引上の地位を不当に利用して使用資材、構器またはこれらの購入先を指定して請負者に強制購入させその利益を害してはならないとされています。そして、商業、工業、金融業その他の事業を行う事業者以外の発注者がこれらに違反したと認められるときは当該請負者の許可行政庁において該当発注者に対して必要な動告をすることができ、元請負者がこれらに違反したときは公正取引委員会において過当な措置がとられることが定められています。
完成検査、引渡しについては、業法には発注者についての規定はないので専ら取引慣行に従って処理されています。元請負者と下請負者との間のそれについては業法に詳細規定されており建設省など監督行政庁の指導、中央建設業審議会からの標準下請契約約款の勧告と相まって大いに改善されています。
工事完成後の請負代金の支払いの時期および方法についても、業法には発注者のそれについての規定はないために、専ら発注者の一方的決定あるいは当事者間の協議で決められています。元請負者と下請業者とのそれについては業法に詳細規定されており、建設省など監督行政庁の相まって、かなり改善されています。
各当事者の履行遅滞など債務不履行の場合における遅延利息、違約金などの損害金については、発注者が官庁であるときの工事代金の支払遅延については、政府契約の支払遅延防止等に関する法律があり、特定建設業者の零細下請に対する下請代金の支払遅延については業法に規定があり、これらは一応守られていますが、他の債務不履行については専ら発注者、元請負者の定めるところ、あるいは取引慣行もしくは民法の規定によっています。

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建設工事請負契約/ 建設工事請負における危険負担/ 建設工事請負の瑕疵/ 瑕疵担保責任/ 瑕疵担保責任の在続期間/ 建物の売買契約と保証人責任/ 工事完成保証人/ 土地と建物の関係/

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